SSブログ

日本の生産性向上は限界なのか?外国人に言われるまでも無く・・・ [経済]

日本のサービス業の生産性の低さについて指摘した記事が面白かったのでシェアします(末尾参照)。

日本のサービスが外国と比べて必ずしも優れているわけではなく、全体として「よりよいものを安く売っている」のではないこと、頭打ちとなった生産性によって、貧困や格差の問題が拡大したり医療や社会保障が危機的水準にきたりしていることなどは、確かにそのとおりです。

また、筆者は、合理性の無い銀行の横並びの窓口時間や、機械化が進んだにも関わらず農地集約が進んでいない農業の例などを挙げ、ITなどを活用した生産性向上の可能性が、日本にはまだまだあることを指摘しています。ちなみに、この記事の筆者は日本人ではなくイギリス人。

一方で、東大名誉教授の上野千鶴子氏が「みんな平等に貧しくなろう」と新聞の寄稿記事に書き、賛否議論を巻き起こしたのはごく最近であり、記憶に新しいところです。外国人が日本の可能性を信じているのに対し、日本の有識者がそれにニヒリズム的なまなざしを向けるようにも見える現状は、何とも歯がゆく感じてしまいます。

生産性を上げ、経済を成長させなければ、公的な医療やインフラに依存せざるをえない貧困層の生活が、真っ先に破壊されることになります。清貧の思想は、個人としては尊重すべきですが、社会全体として望ましいとは決して言えません。ルールに則りお金を稼ぎ、きちんとしたサービスにはそれなりの対価を払い、そして経済全体を豊かにする。そんなマインドを日本人自身がしっかり持たねばならないと思いました。

【参考記事】
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170215-00155234-toyo-bus_all&p=1

経済成長は人類史上の異常事態!?現代日本と経済成長について [経済]

歴史的な観点から、GDPを中心とした経済成長に疑問を呈する記事が印象的だったのでシェアします。

【参考記事】
http://digital.asahi.com/articles/ASJDY5DR2JDYULZU005.html?rm=568

記事によれば、GDPや経済成長という考え方が出てきたのはここ200年ほど。また、人類史で経済が成長するようになったのも、概ね200年程度だそうです。そのため、経済成長をしないことがむしろ人類の歴史において当然であり、経済成長を求める現在の風潮に対し、釘を刺しています。

もちろん、記事の指摘は事実でしょう。しかし、現代日本における幸福な生活は、経済成長を抜きにしては考えられないのではないでしょうか。

高齢化などに伴う医療費や社会保障費などが上昇している以上、誰かがその費用を負担しなければなりません。経済が成長すれば、成長分をそれに充当させることができます。

しかし経済が成長しなければ、それだけ国民の負担が増すことになります。可処分所得が減り、さらに経済が縮小します。特に貧困層への影響は大きいはずです。そうなれば、国内の所得や資産の格差は強固に固定されることになり、貧困層はそこから抜け出すことができなくなるでしょう。

それを防ぐため、仮に累進課税の強化などにより富裕層への負担を強化すれば、富裕層は国外へ流出し、国内の資産はさらに目減りすることになります。富裕層の流出を防ごうとするならば、国境を超えた人やカネの異動を制限しなければならないと思います。

結局、経済成長をしなくてもいい社会というのは、例えば江戸時代のように、階級間の流動性が少なく、国内外での人やカネの異動の自由が大幅に制限された社会にならざるを得ないのではないでしょうか。それを幸せと感じる日本人は、それほど多くないのではないでしょうか。

もちろん、すでにある程度所得や資産がある人は、現状が固定されることに対して違和感が少ないのかもしれません。また、経済成長を目指すのは困難であることからの諦めや、経済成長に伴う社会の変革に眉を顰める方もいるでしょう。

それでもなお、現在の日本の抱える多くの課題は、経済成長で解決できると考えられており、しかも、日本は、名目GDPが20年以上ほぼ横ばいという、稀有な先進国となっています。

同じく人類史で見れば、例えばインターネットが広く普及するようになったのはここ20年です。しかし、人類史上その方が長かったからインターネットを使うなという意見は、今の日本では考えられません。

少なくとも、封建制度から解放された近代以降の日本人の幸せな生活を思うとき、経済を成長させる方法について、真摯に考えるべきなのではないでしょうか。

英国における日立の原発事業に日本政府も支援!その意味はどこに? [経済]

英国において日立が実施する原子力発電事業に、日本政府が資金支援を行うと報じられたことが、話題になっています。

≪参考記事≫
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161221-00002444-toushin-bus_all&p=1

記事では、英国で予定通り建設工事に着手できるか否か、発電所を作るとしてその売電のスキームが作れるか否か、そして何より事故発生時の損害負担や責任問題をどうするのかの3点を問題にしています。福島第一原発の事故以来、日本における原子力発電は、現政権の進める一定の基準を満たした再稼働の可否や、福島原発の賠償負担が問題になっています。

福島第一原発事故の途方もない損害や、廃炉や使用済み燃料に伴う未成熟な技術的な問題を考えると、原子力発電を実用化してしまったこと自体が誤りだという考えは、十分説得力があります。その一方で、日本の外を見ると、今回の英国だけでなく、中国やインドなどの経済成長著しい国やその他新興国で原子力発電を推進しており、ペースは落ちるにせよ、原子力発電そのものは、これからも普及していくことでしょう。また、日本国内においても、廃炉や使用済み燃料の問題、事故やテロ対策の問題など、原発に関する課題は山積です。

そうであるならば、国内で原子力発電所を稼働しようがしまいが、日本において、狭義の原子力発電技術だけではなく、これまで遅れていた基礎研究や、テロ対策、事故補償に関する制度設計を含めた総合的な研究を、これまで以上に進めることが求められているのではないでしょうか。原発政策は、稼動するしないだけでなく、いかに技術や研究の水準を確保するかの観点が不可欠だと思います。

今回の英国での事業は、日本企業において原発に関する知見を蓄積する契機の一つにすべきであり、その意味では国策としての意味があるのかもしれません。

学習用:国際金融のトリレンマ [経済]

完全に自分の学習用に書く。

国際金融のトリレンマっていうのは、
 ・為替リスクの解消(≒固定相場制)
 ・国境間の自由な資本移動
 ・各国独自の金融政策
の3つを同時に実現することはできないっていう話。

対外貿易やってる人にとっては、というか日本の多くの企業は為替リスクに直面
している。輸出メインの企業なら円高で利益吹っ飛ぶし、原料輸入してる企業は
円安で資材高騰するのは辛い。

だから、急激な為替変動による為替リスクは避けたい。

昔は海外旅行に行くときにもっていける外貨の金額が限られていたらしいし、海外
の金融商品を買うことなんざできなかった。でも、少しでも運用益が高い金融商品
に投資したいのは人の常だし、資本移動が不自由なのは、有利な投資チャンスを
みすみす失うことになる。

だから、資本の移動は自由の方がいい。

アベノミクスを見るまでも無く、不景気から脱出したいときに真っ先に考えるのが
金利低下だし、インフレになりそうなときには金利を上げたい。これができないと、
各国不景気やインフレに対して打てる手が大きく制限される。

だから、金融政策の独自性は手放したくない。

というわけで、為替リスク、自由な資本移動、独自の金融政策は、どれも大事。
ただ、全部一緒には無理なんで、最低でもどれか一つをあきらめなきゃね、ということ。

どういうことか。

仮に、固定相場制を取ることを考えよう。1ドル=100円にでもしておこうか。
金利は、分かりやすく日米ともに5%くらいにしよう。(日本の金利高!)

日本は不景気なんで、企業や個人がお金を借りやすくなるよう、金融政策で
金利を1%に下げたとする。どうなるか。

日本円で資産を持っても年1%しか増えないけど、ドルだったら年5%。
資本移動も自由だとしたら、当然みんなドルを買って円を売る。

変動相場制なら、みんながドルを買うことでドルが高くなるから、需要と供給の
バランスで、ドルが十分に高くなったどこかで、みんなドル買いを止めるはず。
価格が均衡し、変動はあるものの、円とドルの量が緩やかに安定する。

しかし固定相場だと円とドルの価格は動かないから、無限にみんなドルを
買い続けることになるし、その方が儲かる。

歯止めが無ければ、円の価値が下がり続け、そのうち誰も円を使わなくなる。
円がジンバブエドルになることを想像すればいい。

これが意味するのは、日本国内のハイパーインフレないしは円経済の崩壊。

もちろん、そうならないように政府が介入して円を買いなおすことになるだろう
けど、日本政府の手持ちのドルが尽きた段階で終了。ハイパーインフレの道を
ひた走ることになる。

これを防ぐには、
 ・円とドルの交換を制限する(=自由な資本移動の規制)
 ・日本もアメリカと同じ金利にする(=独自の金融政策の否定)
のいずれかを図るか、そもそも固定相場制を否定するしかないわけね。

でも重要なのは、3つ全部は無理でも、残り二つは何とかなりやすいということ。
 ・独自の金融政策+自由な資本移動(✕:為替リスク):日本、アメリカ
 ・固定相場+独自の金融政策(✕:資本移動の不自由):中国
 ・固定相場+自由な資本移動(✕:金融政策の制限):EU域内
ざっくりこんな感じだと思う。

だから、EUのギリシアが経済危機に陥ったとき、独自の金融政策が取れずに
EUに支援を仰ぐしかなかったけど、EUの求める歳出削減だけでは間違いなく、
さらに景気が悪くなるから困った、っていう話ね。

お、少しわかってきた。

経済学は門外漢だけど、たまには勉強するのも悪くないと思ったこの頃。

ではまた。

コンビニの生産性向上なるか?自動レジ実証実験 [経済]

ローソンとパナソニックが無人レジの実用化に向けた実証実験をスタートさせるとのこと。

記事によれば、2017年後半には、十数店舗に導入予定だそうですが、課題は未だ高額の電子タグ。もっとも、電子タグが普及すればスケールメリットでその価格を下げることができるため、両社は他の小売業界にも積極的な利用を呼びかける模様です。

個人的には、電子レジによるコンビニ店員の省力化が約10%に過ぎないということに、やや驚きました。もちろん、10%の省力化は全国チェーンを考えれば大きなものですが、従業員頼みというコンビニ、ひいては小売業の構造は、当面続くことになりそうです。

少子高齢化を見越した労働力の不足に対し、一つには、技能実習制度の拡充などをはじめとした、外国人労働者の積極的な受け入れが考えられています。しかし、外国人労働者、特に低賃金労働者の受け入れ拡大は、治安悪化などの懸念があり、ドイツにおけるトルコ人労働者の例を見ても、慎重に考えるべきだと思います。

むしろ、テクノロジーを通じ、少ない人数でも回せる仕組みを作り、従業員一人当たりの売上を伸ばすとともに、その一部を給与に反映させることで、経済の好循環を作るべきでしょう。小売業界以外でも、省力化のための積極的な設備投資とそれを後押しする仕組みが必要なのかもしれません。

【参考記事】
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ12I6N_S6A211C1TI5000/?dg=1