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就職氷河期世代、雑感 [労働]

1970年代前半から80年代前半生まれの約10年が、いわゆる就職氷河期世代とされている。

最初に就職を経験する時期の不景気に加え、その後転職とかを目指しても経済停滞とリーマンショック等で求人が少ない時期が続き、求人が増えた今になっても、転職市場で評価される経験が無いまま社会人生活の後半を迎えつつあることが、氷河期世代の危うさである。つまり、多くの人々が、お前らは一生低待遇だという烙印を押された世代。

実際、30代後半以降でそこそこマネジメントとかなんとかの評価される経験を持ってる人が転職市場で引く手あまたなのは、その絶対数が少ないからで、そうでない人々の方が圧倒的に多いはず。そして、同じ仕事をさせるなら、教育投資の回収もできるし賃金を抑えられるより若い人が選ばれるのは当然だ。

一方で、市場で求められる職務経験を積めなかったいわゆる氷河期世代の人々の多くが現在の生活や仕事を維持しようとしても、若者だけでなく、今度は外国人労働者や省力化投資との競争で待遇が買い叩かれることになり、生活や仕事の維持すらもままならない。当然、結婚や子育てなどは夢のまた夢だ。

むろん、わずかな機会を掴み、努力を重ねて、このようなスパイラルから抜け出し、求める待遇を手にした氷河期世代の人々は、賞賛に値すると思う。しかし、その結果を得られなかった人々が、一部の同世代と比べてまたは他の世代と比べて、極端に怠惰で、極端に無能だったと断じることが妥当であろうか。

もし、氷河期世代の人々の多くが他と比べて極端に怠惰、無能でないならば、その世代の状況や問題を個人の責任にのみ帰するのはいささか酷だろう。すなわち、社会的、政策的な支援が必要になるのではないか。

すでに中年に差し掛かっているその世代の問題は、具体的には、少子化のみならず、今後、高齢者の医療、介護、福祉や、終活の問題に直結することになるに違いない。

このままでは、30年~40年後、氷河期世代が高齢者となるころ、その多くは働いていた時期の低賃金から、貯えも少なく、社会保障も削られ貧困で孤立したまま続々と死を迎えることになるはずだ。それはそれで仕方無いことなのかもしれない。ただ、そのことに一抹の悲惨さを感じるのであれば、やはり、政策的な支援が必要ではないかと思われる。

そして、政策的支援をすべき時期は、なるべく早く、だ。なぜなら、まだ氷河期世代の多くは働き盛りであり、結婚や子育ての適齢期にもぎりぎり重なっているからだ。その間に支援を決めることが不可能ならば、氷河期世代という失われた世代への対応の不備が日本社会の発展への大きな障害となるだろう。

それを察してか、政府は人材活用の視点から、就職氷河期世代の支援を打ち出すこととしたようだ。しかし、求人や待遇のミスマッチは容易に埋まるとは考えられず、就職氷河期世代の沈没を防ぎ日本社会の停滞を防ぐには、より多方面な、抜本的な支援も必要ではないかと思う。

政府、与党だけでなく、野党も積極的に参加し、実効的な支援策を迅速に実施に移していただきたいものである。氷河期世代が、まだ働けるうちに。

【参考記事】
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190328/k10011863501000.html


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低所得者の金融ニーズの救い上げか。給料前借サービスについて [労働]

給料の前借・前払いサービスに関する記事が印象的だったのでシェアします。

(参考記事)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171118-00006978-bengocom-soci

労働者にとって、手持ち現金が無いときに、すでに働いている分の給料を計算して受け取れるのは、ありがたい話です。労使の合意があれば可能なこの仕組みですが、一方で、手数料などが天引きされ、実質的には利息と同じような運用がされているケースがあります。その場合、給与の前払いではなく、事実上の借金として、労基法や貸金業法などに抵触する恐れもあり、注意が必要です。

ところで、このようなサービスの背景の一つには、低所得者向けの低利金融サービスの不在があると思います。低所得者が生活コストを下げるために投資するには、一定のまとまった金額が必要です。しかしその資金調達には、消費者金融やカードローンなど、比較的高利の手段しかなく、そのため、生活コストが高止まりしがちな側面があります。

バングラディシュでは、主に農村の貧困層向けの無担保・低利融資を行っているグラミン銀行が、貧困対策などに大きな貢献をしたという理由で、ノーベル平和賞を受賞しており、ビジネスも順調だそうです。日本でも、低所得者向けの無担保・低利融資に一定の需要があるのではないかと推測します。

給料前借サービスの需要を丁寧に分析することで、低所得者向けの金融サービスの拡充と適正化が図られないものか、注目していきたいと思います。

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不足は労働者、だけ?北海道のホタテ漁業について [労働]

北海道のホタテ漁業に関する記事が興味深かったのでシェアします。記事によれば、北海道猿払村は最高級のホタテを産出し、住民の平均所得も港区、千代田区、渋谷区に続く、全国4位。その一方、労働力不足のため、ホタテ漁業の将来には黄色信号が灯っていると指摘されています。

【参考記事】
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-24/OV2UX06TTDW901

住民の平均所得は高いものの、ホタテ加工場の作業賃金は、最低賃金。賃金を少々上げても人が来るとは限らず、外国人技能実習生の活用にも限界があります。また、職を紹介して移住者を募ろうにも、賃金面で折り合いがつかないケースが少なくないようです。そんな状況からか、省力化の設備投資も積極的に行われず、せっかくのホタテの好漁場も、宝の持ち腐れになりかねません。

八方塞がりのような状況ではありますが、人手不足が問題であるのなら、待遇を上げて人を集めるか、設備投資で省力化を図るかのいずれかしかありません。いずれにも資金が必要ならば、借り入れか、自己資本調達かの違いはあれど、資金調達に関するファイナンスの問題です。また、事業所の経営体力に問題があるなら、事業所相互の統廃合を通じ、資本を集約する必要があるでしょう。

この記事だけで即断するわけにはいかないでしょうが、労働力不足の問題を嘆きつつ、漁業をビジネスとしてどうするかという視点が、関係者に希薄であるように感じます。その意味では、不足しているのは、実は労働者ではなく、普通のビジネスマインドを持った経営者なのではないかと、ふと考えてしまいました。

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潜在成長率がゼロ?日本の労働力不足について [労働]

日本の労働人口について紹介した記事が印象的だったのでシェアします。記事によれば、製造業や運送業などは、従前から人手不足が指摘され、経済成長に負の影響を与えるリスクが高まっていることに加え、サービス業の人手不足がさらに広まることが懸念されています。その一方で、企業の需要予測は悲観的であり、積極的な採用が難しいことも現実です。

個人的には、省力化および労働のユニバーサルデザイン化への投資が最優先だと思います。記事では、IoTやAIの活用を目指す企業においても、それを活用できる人材がいないことが問題とされています。しかし、現在多くの人がPCやスマホを使っている時代、インターフェースの改善の余地はまだまだあるはずです。また、高齢者や女性が働きやすい労働環境整備や労働管理の方法も、まだ研究し尽くされたとはいえないのではないでしょうか。

さらに、労働環境の適正化も課題です。違法な超過残業などの是正は、まだまだ道半ばのはずです。省力化投資や労働環境の適正化を通じ、少ない人数で高い付加価値を提供することができたならば、労働者の賃金も上昇させることができ、マクロ経済的にも良い効果をもたらすでしょう。このような労働環境であれば、技術や専門知識を持った有能な外国人労働者は、むしろ日本で働くことを望むはずです。

もっと言えば、人手不足を理由に廃業せざるを得ない企業から、顧客や技術、ノウハウなどを継承させるためのM&A支援も必要になるでしょう。

いささか順不同につらつら並べてみましたが、世界に例の無い少子高齢化を歩む日本は、いわゆる課題先進国です。これまでの成功体験に捕らわれず、かつ、悲観しすぎず、出来る取り組みを一つ一つこなしていくことが必要なのだと思います。

【参考記事】
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170623-00000054-reut-bus_all

大上段の空中戦が空回りし続ける、日本の外国人問題 [労働]

外国人移民問題に関する国内の意見の相違や問題をまとめた記事が面白かったのでシェアします。

≪参考記事≫
http://blogos.com/article/218898/

かねてから、経済団体は人手不足による移民の必要性を訴える一方、治安悪化の懸念など移民への反対論も根強く、移民について語る文化人の発言が左右問わず批判されるなど、意見は錯綜しています。

これら大上段の移民賛否の議論が巻き起こる日本は、まさに、筆者のいう「日本が好きだ、日本で働きたいという人たちが完全に置き忘れられている世界」なのだと思います。

実際、日本には、通常の外国人労働者に加え、留学生、技能実習生、日系人、難民、特別在留資格に基づいて滞在する外国人など、様々な外国人がいます。加えて、すでにコンビニや飲食店などのサービス業をはじめ、その他の産業でも、外国人を見かけるのが当たり前になっています。

その意味では、日本は移民を受け入れるか否か、という段階はとうに過ぎていると言えそうです。

かつて小泉純一郎氏は、総理大臣時代の会見で移民受け入れの是非について問われた際、すでに日本にいる外国人の状況に関心を向け、その環境整備の必要性について述べました。
それから10年以上。

在留管理の一元化など制度的な改善は一部みられるものの、技能実習生のトラブルや留学生の逃走、政治難民ではない在留者の扱いなど、外国人を巡る問題は山積です。まずは、様々な事情で日本にいる外国人の存在を認め、彼らの生活の実態を知り、制度的な改善やその程度を考えなければならないと思います。