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ほそえさとし氏の挑戦~新宿区議会議員選挙~ [政治]

友人のほそえさとし(細江聡)氏が、4月16日(日)公示・4月23日(日)投開票の新宿区議会議員選挙への立候補の意向を固め、活動をしている。

関西生まれの氏は、2年ほど新宿住まいではあるが、そもそも新宿に地縁があるわけではなく、当然ジバンは無い。また、元大手証券会社勤務と言う実績はあるものの、選挙で使えるカンバンになるものではない。どこか政党なり業界団体のバックアップを受けているのかというと、そうでもない。あるのはカバンくらいだ。

そもそも選挙に出ると言い出したのも、選挙から3か月前、2023年の1月下旬。以前から意向はあったのかもしれないが、それまで細江氏から、新宿区の政策課題に関する主張など、ほとんど聞いたことが無い。前回の選挙を踏まえ準備してきた現職や新人にしてみれば、選挙を舐めてるのかと言われても仕方ない。友人の僕ですらそう思うほどなんだから、世間的には全くもって泡沫候補なんである。

しかも、主張している政策集のタイトルは『パパ活八策』。内容を読めば、ホストクラブの高額売掛金規制アーティスト支援など真っ当な政策も含まれているとわかるのだが、タイトルだけから見れば、ふざけているとすら思われかねない。

ともあれ、立候補すると決めてからの細江氏の動きは、非常に精力的だ。

仕事や生活の合間、新宿駆け込み寺など各種ボランティア団体に参入して清掃等の活動に従事したり、新宿区の消防団へ入団したり、政治活動用のSNSアカウントを取得して運用したり、駅頭で街頭活動を始めたり、大学や大学院時代のツテを探してアピールする方法を模索したり、その他もろもろ。票目当ての泥縄と言われようが何だろうが意に介さず、どこにでも顔を出す軽いフットワークとへこたれないバイタリティで人脈を開拓していく姿には、驚かされることしきり。

本人が言うように、彼の挑戦は、軽率であり、無謀であり、滑稽ですらある。しかし、そこに一つまみの勇気があるのは否めないし、供託金その他含め、自分でリスクを負って挑戦する姿勢は、結果こそどうあれ、率直に称賛に価すると思う。

残念ながら、居住地の関係で、僕は細江氏に投票することができない。しかし、細江氏のようなうっかり者が出てくれたおかげで、地方自治体の選挙について調べたり考えたりするきっかけができた。現職や既存政党の公認する立候補予定者がわかりやすく優遇されている制度運用や、公職選挙法の厳密な解釈からはグレーゾーンのような各種活動についてなど、細江氏の発信で知ったことも多い。

さて、選挙における投票率の低下や、政治への無関心が嘆かれて久しい。

奇しくも昨日、選挙応援中の岸田総理を狙ったと思われる爆発物事件があった。政治的言論が自由であり、選挙がそれなりに行われている日本において、政治的テロを擁護する余地は全く存在しない。政治への無力感を嘆くならば、身近な選挙で一票を投じるべきだ。それこそ、細江氏が言うように、テロよりも選挙、暴力よりも投票でなければなるまい。

ただ、政治へのシラケた感覚に喝を入れるのは、「選挙に行きましょう」「投票しましょう」などのマジメなお題目ではなく、自分の隣で酒を飲んでいたような身近な人が選挙に出る、そんな軽率さと勇気を備えた人々の存在なのではないかと、細江氏を見て思った次第なんである。

細江氏にとって、悔いの無い選挙戦を祈りたい。

≪ほそえさとし(選挙ドットコム)≫
https://go2senkyo.com/seijika/188009

≪ほそえさとしの「パパ活八策」≫
https://go2senkyo.com/seijika/188009/posts/603732

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2022年参院選雑感、政治改革の崩壊と新たなストーリー [政治]

7月10日投開票の参議院議員選挙の結果が確定した。至極大雑把に言えば、自民と維新の勝利、そして、立憲民主党の敗北である。

自民党が議席を増やし公明党はほぼ横ばいと、与党は安泰。野党は、立憲民主党が大きく議席を減らし、その分維新が伸びた。共産、国民は微減。れいわと参政党とN国が議席を獲得。社民党は1議席を死守した格好である。

今回の当選者数に限れば、野党第一党の座は立民から維新に移り、依然国政では最大の野党であるはずの立憲民主党の退潮が印象付けられた選挙だった。

この結果については、国会において改憲を肯定する勢力が三分の二を超え、国会による憲法改正発議が一段と近づいたこと、ある意味イロモノ扱いされていたN国や参政党が議席を獲得したことへの懸念など、様々な感想がみられる。

ただ、個人的に思ったのは、90年代前半のいわゆる政治改革が、名実ともに破綻に向けまっしぐらだなあという感慨だった。

1955年の自民党の結党を機に、自民党に、改憲に必要な三分の二の議席は取らせない代わりに政権を維持させてきた55年体制。その下で自民党は、派閥抗争で活力を維持してきたことに加え、当時の社会党を中心とする野党とは、表での論戦とは裏腹に、国会対策での取引すなわち国対政治を通じて顔を立てあっていた。

派閥や国会対策における意思決定の一般国民から見た不透明さに加え、自民党の各派閥があたかも政党のように候補者を出す中選挙区制において、派閥による巨額の資金集めが不正献金の温床となっていたこともあり、政治改革が唱えらえるようになる。

政治改革の引き金は自民党内最大派閥竹下派の跡目争いではあったものの、ともあれ、政治改革の流れの中で、自民党は一時政権を失い、非自民連立による細川政権の成立。

政治改革の具体的な裏付けとして、候補者選定を派閥から党に移すための、小選挙区制の導入をはじめとした選挙制度改正、そして、派閥での資金集めを抑制するために、政治資金規正法の強化と政党助成金制度の創設などがなされた。

自民党内の派閥や与野党の国会対策よりも、政権交代可能な二大政党による公の国会論戦で意思決定をしていこう。これら政治改革の主眼は、そこにあったとされる。

その後、自民公明による政権から民主党への政権交代、ついで、民主党から自公への政権交代もあり、問題をはらみながらも、自民・民主の二大政党を軸に、政治改革が願った方向性で進んでいたのではないかと思う。

しかし、2012年末、衆院選の勝利により自民党・公明党が民主党から政権を奪取して以降、二大政党はどんどん怪しくなってくる。野党となった旧民主党勢力の低迷である。

自民党の安倍政権、菅政権、そして今次の岸田政権に至る約10年、民主党政権を構成した勢力は、国政選挙で与党を脅かすことが一度たりともできず、あまつさえ分裂を繰り返し、党勢を挽回することをできずにいる。特に、かつての民主党の中心である現在の立憲民主党にその傾向が著しい。

そして今回の参院選。現在の立憲民主党は、政権を脅かすことはおろか、かつて地方政党とされた維新に猛追され、野党第一党すら危うい。まして、自民党は議席を増やしている。

政党支持率の推移などを見るにつれ、旧民主党系が政権を奪還することは、当面のところ望み薄である。支持率を伸ばしている維新も、単独ないしは自民以外との連立で政権を取るには、まだまだ先は長い。その意味では、政権交代可能な二大政党制を目指す政治改革は、その提唱から約30年を経て、ほぼほぼ崩壊したと考えてよいのではなかろうか。

その原因や背景はいろいろあろうが、政治改革が崩壊しても、政治は続く。

自民党内の派閥抗争と社会党との国対政治が特徴的だった55年体制。政権交代可能な二大政党制を目指した政治改革、いわば93年体制。そして、国政における自民一強が強く印象付けられ続ける昨今の政治状況。

今回の参院選含め、ここ数年の国政選挙で、経済、外交、安保、地方自治など、あらゆる政策課題に対しそれなりの見識を持つ総合政党としては、自民党以外の政党はほぼ力を失ったといっても過言ではないと思う。しかし、例えば商業において、何でも売っている百貨店やスーパーに対し、特定の商品なりブランドなりに注力する専門店も共存しているし、政党が総合政党のみである必要はないはずである。

当面の政治状況としては、総合政党としての自民党と、経済や安保など、特定の政策分野に強い、ないしは特定の支持層の声を拾い上げる小政党が乱立し、それぞれの得意分野で自民党を補完し、あるいは自民党との取引を重ねて国政を動かしていく形になるのかもしれない。

その形をどう名付けるかはあるにせよ、政治改革が崩壊した今、政治状況を説明し、願わくは遠くにその理想を指し示す新たな枠組みやストーリーこそが、必要なのではなかろうか。

≪2022年参院選結果≫
https://www.jiji.com/jc/2022san?


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2021年9月上旬、自民党総裁選前の戯言 [政治]

菅総理大臣が自民党総裁選への不出馬を表明し、任期満了での退任が決定した。

新型コロナウイルス対応におけるワクチン普及や、東京オリンピック・パラリンピックの大過ない開催、デジタル庁設立、福島第一原発処理水の海洋放出決定、アフガニスタンへの邦人脱出のための自衛隊派遣など、一つ一つの課題に真正面から取り組み、結論を出し、対応をしたと思う。

ただ、いかんせん俯瞰的に発信する力、わかってもらおうとする努力が政権として弱かったのか、コロナウイルス対応を中心に後手後手のイメージが最後まで払拭できず、支持率を回復させることはできなかった。官房長官として歴代最長の在任期間を誇り、辣腕を振るった菅氏も、総理大臣としてはそうはいかなかった。

菅内閣については諸々の評価はあろうが、個人的には、辞任した安倍前総理の残り一年の任期の中継ぎとして、十二分にその職責を果たしたと思う。衆院選で勝って自前の内閣を作れなかったのは心残りだろうが、それは仕方あるまい。これを書いている時点ではまだ総理在任中ではあるが、とりあえず、おつかれさまでした、に尽きる。

で、自民党総裁選である。

岸田文雄前政調会長、高市早苗元総務大臣が出馬を表明し、そこに河野太郎行革・規制改革担当大臣も加わり、三つ巴の様相を呈してきた。三氏の言動が日々報道されているが、あまり細かく追えてないので、雑感を書き連ねる。

自民党総裁≒内閣総理大臣に求めるものとしては、現在、短期中期の課題含め、大きく四つだと思う。

一つ、新型コロナウイルス対策
二つ、日本の経済成長の実現
三つ、米中開戦リスクへの対応
四つ、政策を継続できる体制づくり

これらをうまく実現できるのは誰だろうか。

例えば、河野太郎氏は、菅内閣において、公務員の労働条件改善やワクチン普及で、国民にもわかりやすくその腕を振るった。安倍内閣時代の外相、防衛相としての評価も決して低くない。その意味で国民的人気も高い。特定の政策課題に答えをきちんと出す能力は稀有だと思う。一方で、党内での支持基盤が必ずしも強くなく、Twitterでのブロックなど、その言動には批判も多い。

高市早苗氏、現在でも一部に総理再登板への待望論すらある安倍晋三氏の支持を得た点は、少なくないアドバンテージだと思う。ネーミングはさておき「サナエノミクス」など経済重視を主張していること、総務大臣歴が長く、IT産業に詳しいのもよい。ただ、これまで総裁選で名前が出てこなかったことで、政権獲得後に向けた準備をどれだけしてきたのかは未知数だ。

岸田文雄氏は、古くは池田勇人総理につながる名門派閥、宏池会の領袖。外務大臣、党政調会長等の要職を無難にこなし、一定の能力は折り紙付きだ。安倍政権時代から総理総裁候補と名が挙がるも、終始無難な言動からか、どうも、もやっとして目立たない。ただ、今回は「令和版所得倍増」を主張するなど、やはり経済で推そうとしており、目に見えて発信も増えている。

現時点での個人的好みとしては、宏池会という固い自前の支持基盤のある岸田氏が総理総裁になって全体をカバーしつつ、高市氏には経済財政担当相として経済成長の司令塔を担わせる。河野氏の処遇は難しいが、将来を見越すなら官房長官か党政調会長。ここ1~2年の話なら、現在の行革・規制改革相に加え、発信力を生かし、現在西村氏が担っているコロナ対策担当相を兼務させたい。

ともあれ、岸田氏、高市氏、河野氏ともに、現在において、それなりに実力と実績のある政治家であるのは間違いないし、そういう政治家が野心をもって競い合うのは基本的にはよろしいことだと思う。

さて、そもそも10年前、岸田氏、高市氏、河野氏の三氏が総理総裁を巡って争うなど、あまり想像できなかったのではなかろうか。こうした、立憲民主党や共産党と比べた人材の新陳代謝が、良くも悪くも自民党の強みかもしれない。

まあ、僕自身は自民党員では無いので総裁選に関与できるわけではないが、衆議院議員選挙を控えた一有権者として、だらだらその推移を見守りたいと思うのである。


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新型コロナ、菅政権、根拠と目標と試算 [政治]

≪菅内閣支持率、続落41% 緊急事態宣言79%「遅過ぎた」≫
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6381843

発足後4か月、菅内閣の支持率が下落傾向にある。その背景にあるのが、ここにきて感染者数増加に歯止めがかからない、新型コロナウイルス対策への不満だろう。

いわゆる学術会議問題などで批判もされつつ、デジタル庁設立や河野行革相による様々な発信などを通じ、発足当初から実務能力を評価されてきたと思われる菅内閣。それだけに、感染症対策というまさに実務能力が要求される局面でマイナス評価となるのは厳しい。

感染症対策にも経済対策にも専門的な知識をもっているわけではないので印象論になってしまうが、新型コロナウイルス対策において、菅内閣に不足している、ないしは欠けていると思われるものがある。それは、対策を実施する根拠となる事実や数字、対策の目標、そしてそこに至る試算やプロセスの提示である。

例えば、緊急事態宣言で考えよう。緊急事態宣言自体の内容や範囲を示すことは最低限必要だ。でもそれだけでは足りない。

すでに春先に緊急事態宣言を出しているのだから、そのときと比べて、感染者数や傾向がどう変わったのか(根拠)、宣言を出すことによっていつまでに何を目指すのか(目標)、どのような措置をどの程度の期間継続すれば目標が達成できるのか(試算やプロセス)、そういった内容の提示がほとんど見られなかった。

前回の緊急事態宣言を巡っては、クラスター対策班や西浦教授による発信があった。そこに、対人接触を8割減少させることで感染拡大を防ぐ、その間に検査や医療の体制を整備する、というメッセージが込められていた。今回とは、かなり異なる。

世論調査によれば、緊急事態宣言が遅すぎたと解する人々が8割近くに及んでいる。しかし、遅すぎたというのもそれだけでは単に印象論に過ぎない。ただ、根拠や目標やプロセスの提示が無いと、その印象論を否定することができない。

いわゆるGoToキャンペーンも、根拠や目標やプロセスの提示が無いことから、もしかしたら経済的にはよい効果があったのかもしれないのに、そこへのレビューがあやふやになり、感染拡大の理由として政府批判に活用されている。

こうして、新型コロナウイルス対策における菅内閣の対応は、どうしても、行き当たりばったり、出たとこ勝負、泥縄式に見えてしまう。それは菅内閣の対策への信用を著しく損ねることになる。その結果としての世論調査での支持率下落であろう。対策への信頼を失えば、支持率が下がるだけならまだしも、せっかく専門家で検討したはずの対策の効果をも損ね、感染拡大を助長する結果にもなりかねない。

もっとも、政府が目標や試算を提示してしまうと、その数字が独り歩きし、柔軟な対応が取れなくなるとの懸念が、もしかしたらありうるのかもしれない。しかし、目標や試算が無ければそもそも対策の良し悪しを評価することすらままならないはずだ。また、対策への批判に、政府として合理的に反論することすらできないだろう。

もしかしたら、それらの根拠や目標や試算はすでにある程度示されているのかもしれないし、自分がその情報に接していないだけかもしれない。それを考慮したとしても、少なくとも前回の緊急事態宣言と比較して、政府としてはまだまだ発信が足りないんではないかと疑っている。

新型コロナウイルス対策はこれからもまだまだ続く。どうか、改善すべきところは改善し、安全はもちろん、安心にも配慮した政策運営を望みたいところである。次回の衆議院議員選挙の投票において、今回の対応が大いに参考になることは、確実であることだし。


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政治の参入障壁に関する雑感 [政治]

日本政治の閉塞感には、政治家の新規参入が、制度的にも心理的にも甚だしく困難になっている現状があるだろう。

政治家は、ハイリスク、ローリターンな仕事だ。

落選すれば仕事は無いし、秘書や運転手を雇ったり、地元で社交の必要もあれば、議員歳費だってたかが知れている。当選回数を増やして大臣になってみても、些細な失言でもすれば、人間性を疑われるような罵倒をされる。資金集めでミスでもすれば、刑事被告人になりかねない。

こんな世界に、優秀な人材が集まるわけはない。

本当に優秀な人間には、自らの名誉を傷つけるリスクを負わなくても、もっと稼げる道が見つかるだろうし、さもなくば、ローリターンであってもローリスクな生き方をするだろう。

結局残るのは、すでに地盤を固めた二世議員か、他の分野の競争で敗れた、一発逆転狙いの山師。もしくは、選挙に出ること自体に生きがいを感じる、インディーズ系候補。見慣れた光景だ。

当選した者にとって、政治家は職業だから、正社員が雇用にしがみつくのと同じ勢いで、当選にしがみつかざるを得ない。そして、一度政治家になった人には、政治以外の職業への本能的な不安があるのではないか。とすれば、新規参入を排除するのが当然の思考になるだろう。

しかし結局、経済と同じで、新規参入が無く、競争が無い業界は、大いに淀んでしまうのではなかろうか。もちろん、孟子が指摘したように、政治家という職業があってもよい。しかし、「政治家」という職業が既得権益化し、固定化するのは、疑問だ。

政治を活性化するには、やはり、優秀な人材を呼び込まなければならない。そして、優秀な人材がそうそう見つかるわけでないことを考えれば、できるだけ多くの人の関心を引き付け、競争させるのが最善だろう。

政治の世界での終身雇用を必ずしも望まない、他の仕事でも稼げる人材を集められるか。もしくは、政治の世界と他の業界を行ったり来たり出来る流動性が作れるか。

かつて90年代、選挙制度改革や政治資金法を政治改革と呼んでいた。

しかし、政治家への新規参入を容易にし、より優秀な人材の当選を確保することこそ、真の政治改革なのではなかろうか。その意味では、政治改革はまだまだ道半ばなのではないかと思うのである。

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