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政治の参入障壁に関する雑感 [政治]

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日本政治の閉塞感には、政治家の新規参入が、制度的にも心理的にも甚だしく困難になっている現状があるだろう。

政治家は、ハイリスク、ローリターンな仕事だ。

落選すれば仕事は無いし、秘書や運転手を雇ったり、地元で社交の必要もあれば、議員歳費だってたかが知れている。当選回数を増やして大臣になってみても、些細な失言でもすれば、人間性を疑われるような罵倒をされる。資金集めでミスでもすれば、刑事被告人になりかねない。

こんな世界に、優秀な人材が集まるわけはない。

本当に優秀な人間には、自らの名誉を傷つけるリスクを負わなくても、もっと稼げる道が見つかるだろうし、さもなくば、ローリターンであってもローリスクな生き方をするだろう。

結局残るのは、すでに地盤を固めた二世議員か、他の分野の競争で敗れた、一発逆転狙いの山師。もしくは、選挙に出ること自体に生きがいを感じる、インディーズ系候補。見慣れた光景だ。

当選した者にとって、政治家は職業だから、正社員が雇用にしがみつくのと同じ勢いで、当選にしがみつかざるを得ない。そして、一度政治家になった人には、政治以外の職業への本能的な不安があるのではないか。とすれば、新規参入を排除するのが当然の思考になるだろう。

しかし結局、経済と同じで、新規参入が無く、競争が無い業界は、大いに淀んでしまうのではなかろうか。もちろん、孟子が指摘したように、政治家という職業があってもよい。しかし、「政治家」という職業が既得権益化し、固定化するのは、疑問だ。

政治を活性化するには、やはり、優秀な人材を呼び込まなければならない。そして、優秀な人材がそうそう見つかるわけでないことを考えれば、できるだけ多くの人の関心を引き付け、競争させるのが最善だろう。

政治の世界での終身雇用を必ずしも望まない、他の仕事でも稼げる人材を集められるか。もしくは、政治の世界と他の業界を行ったり来たり出来る流動性が作れるか。

かつて90年代、選挙制度改革や政治資金法を政治改革と呼んでいた。

しかし、政治家への新規参入を容易にし、より優秀な人材の当選を確保することこそ、真の政治改革なのではなかろうか。その意味では、政治改革はまだまだ道半ばなのではないかと思うのである。



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