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【雑感】第25回参議院議員選挙結果~どこも負けなかった選挙~ [政治]

7月21日投開票の参議院議員選挙の結果が出そろった。結果の詳細は末尾リンク参照として、とりあえず感じたことをつらつらと書いてみたい。

今回の選挙を一言でいうならば、主要な勢力が『どこも負けなかった選挙』と言えるのではなかろか。

消費増税を既定路線として苦戦が予想された自民党・公明党の与党は、自民党が議席こそ減らしたものの、勝敗ラインと主張してきた改選過半数は遥かに超えた。野党第一党の立憲民主党は、与党の勝敗ラインを脅かすことはできなかったが、改選議席をほぼ倍増させた。

その他、与野党の議席配分に大きな影響は無いものの、維新は議席を増やし、共産・国民民主は議席を減らし、れいわ新撰組とN国は議席を新たに獲得した。また、社民党は1議席を死守し政党要件をどうにか維持することができた。

与党が勝敗ラインである改選過半数を超えたものの、いわゆる改憲賛成勢力とされる自民・公明・維新で、改憲発議に必要な数を下回ることとなり、この点については、立憲民主党はじめとする野党勢力が一矢報いたと言ってもよかろう。

このように、自民、公明、立憲などの主要政党は、ある意味では勝ったとも言えるし、ある意味では目的を達成できなかったと言える。だから、結果的にはあまり大きな動きは無いと言ってよいのかもしれない。だから敢えて言えば、どこも負けなかったと言うべきなのだと思うのである。

このような選挙結果を全体的に評価した場合、有権者の総体は、政権の枠組みについてゆるやかな現状維持を望んでいるという意思を表示したのではないかと考えられる。

これは、与党が大きく負けなかったことと、いわゆる改憲勢力が発議に必要な議席を得られなかったこと、その双方から言えることだ。有権者は、引き続き自民・公明の連立政権の枠組みでの政策遂行を望んではいるものの、憲法改正まではそれほど強く望んでいないということが示されたのではないか。

各党について、もう少し感想を述べたい。

<自民党、公明党>
自民党が10以上議席を減らしたことは、率直に言って、敗北と言っていいはずだ。しかしそれが敗北に見えないのは、選挙戦早々に勝敗ラインを改選過半数と定めたことであろう。消費増税を掲げてもなお「負けなかった」という前代未聞の選挙を展開することができた、情勢の読みの的確さ、ダメージコントロール、戦術の巧みさが光った。

<立憲民主党>
議席をほぼ倍増させることができたのは、野党共闘の成果の一つだと思う。ただ、選挙に不利な増税を掲げる与党を脅かすまでに至らなかったのは、今後の反省材料のはず。例えば、いわゆる「おしどりマコ」候補の擁立について、各方面から批判や問い合わせがあったにも関わらず党として黙殺したことで、失望した有権者は多かったのではないか。

<日本維新の会>
議席を増やせた件、立憲民主は嫌だけど自民に投票をしたくもない層をうまく拾えたのでは。

<共産党>
ほぼ現状維持に成功。野党共闘では、立憲民主党に比べ、やや貧乏くじを引かされたのではないか。

<国民民主>
議席はやや減らしたが、今後与党が改憲の手続きを進めるならばキャスティングボードを握れる位置につけたことから、各種駆け引きで発言力を得られるのではないかと思う。

<れいわ新撰組>
れいわ新撰組が2議席を獲得し、山本太郎氏の存在感は高まった。山本太郎本人は落選したが、これで次の衆院選でほぼ当選は堅いのではないか。山本太郎氏を侮ってはならないと思う。


さて、このように、個人的には『どこも負けなかった選挙』と思うわけで、各党その支持者に自勢力の勝利を喧伝することになるだろう。しかしそのことは、同時に、『どこも勝てなかった選挙』と同じ意味であり、反省材料は各党あるはずだ。各党、傷のある勝利に酔わず、次の選挙を見据えた行動をとっていただきたいし、それができる政党が国政で影響力を発揮できるのだと思う。

国会議員は、そして政党は、国政で競争し、選挙で審判を受ける。それは、民主制の一丁目一番地である。今回当選された選良たちの奮起を、改めて期待したいと思う。


<選挙結果>
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC25%E5%9B%9E%E5%8F%82%E8%AD%B0%E9%99%A2%E8%AD%B0%E5%93%A1%E9%80%9A%E5%B8%B8%E9%81%B8%E6%8C%99
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