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蕎麦、いわもとQ、閉店の霹靂 [新宿]

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立ち食い蕎麦チェーン、いわもとQが完全閉店とのこと。誤報だと信じたかったが、どうも本当らしい。率直に言って、痛恨の知らせなのである。

≪参考記事:「いわもとQ、閉店したの?」SNSで噂かけめぐる 東京の人気店、突然の異変にファン嘆き「マジかよ」「嘘だと言って」≫
https://news.yahoo.co.jp/articles/d02192b31ec240cf40f20586667da6a004870a87

正直、歌舞伎町店以外はほとんど訪れたことは無いが、歌舞伎町店だけでもその素晴らしさは語り継ぐに値する。

場所は、新宿区役所裏。コロナ禍などもあり、営業時間は流動的な時期もあったが、基本は24時間営業。客層は、キャバ嬢、ホスト、労働者、サラリーマン、客引きの黒人、その他何者かわからないおっさんおばさんなど、いかにも歌舞伎町らしい。ランチタイムには、新宿の吉住区長もよく訪れていた名店なんであり、僕の周囲の新宿の酔客たちには一目も二目もおかれていた。

まず、蕎麦がいい。20年近く前は、店内に製麺機があり、捏ねた蕎麦粉の玉を茹でる都度製麺していた。いつからか製麺機は無くなり、製麺されたものを茹でていたが、大手蕎麦チェーンよりも蕎麦の香りと食感がよく、ざっかけない立ち食い蕎麦屋の期待値はきっちり超えてくる。

もちろん、出汁もいい。蕎麦をつゆにつける「もり」、温かい「かけ」に加え、冷やしたつゆをぶっかけてある「ひやかけ」の三種類。それほど醤油やかえしがきつくなく、出汁本来の味で食わせてくるところは、非常に好感が持てる。もちろん、もりの場合は蕎麦湯割が沁みる。

揚げ物もよい。定番のエビやかき揚げの他、ナスやインゲン、とり天など。繁忙時間帯は別だが、都度揚げられた熱々の天ぷらをハフハフ食うのは堪えられない。また、ビールとの相性も素晴らしい。かつてはカップ酒も置いており、天ぷらで飲めた。立ち食い蕎麦でヤる酒は極上だ。

天ぷらやかき揚げを乗せた丼ものも素晴らしく、蕎麦とのセットできっちりと満足させられる。なお、個人的には、炒め野菜をのせた野菜蕎麦が結構好みで、よく嗜んでいた。

そして、いわもとQの歌舞伎町店と言えば、やはり、店員のあのおばちゃんであろう。年齢こそ、たぶん60~70代と思われるが、目がぱっちりとして若いころの美貌を彷彿とさせる。しかし何よりの特徴は、嗄れ声というにはいささかハードに過ぎる、その魅惑のデスボイス。

「ひやかけひとつ」絞り出すように注文を復唱するその声に、新宿の民はある種の郷愁を感じざるを得ないはずだ。

≪記事:新宿立ち食い蕎麦雑考。というか、あのおばちゃん≫
https://daily-news-portal.blog.ss-blog.jp/2016-03-20

コロナ禍前後から店舗でおばちゃんを見る機会が少なくなった気はするが、それでも友人知人間で目撃情報が出るたびに、安堵のため息を漏らしていたものである。

そんな歌舞伎町店を筆頭とするいわもとQが、とうとう全店閉店とのこと。人手不足など、様々な理由が挙げられているようだが、経営の詳しいところはわからない。

だが、7月の歌舞伎町店の閉店の際は、張り紙に移転のためとあり、近隣店舗で探しているとのこと、歌舞伎町の新店を心待ちにしていただけに、残念さは否めない。

コマ劇場も無くなったし、カフェ彩ももう無い。蔵元居酒屋清龍だって新宿からは撤退した。街が新陳代謝で入れ替わるのは、仕方がないことなのかもしれない。しかし、自分の知った新宿歌舞伎町の景色が一つ一つ変わっていくのは、なんとも、やるせないものだ。

新宿区役所裏でいわもとQが提供してくれた、ちょっと美味しい立ち食い蕎麦の思い出を、これからも、そっと抱えていくつもりなんである。

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*画像は「しんじゅくく通信」より


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