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柴又~小岩、紳士三人ぶらり旅 [その他]

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先日、平均年齢48歳の僕とG氏とA氏、紳士三人で、またもやぶらぶらしてしまった。今回は、柴又を堪能し、小岩で締めた。

午後イチを目途に待ち合わせをしたが、例によって僕だけ早めに柴又に着く。思ったより自宅からは近かったものの、日常降りる駅ではなく、友人と観光に来たのも優に十年は前。物珍しい。改札を降りると、左手に喫茶店、右手には立ち食いそばと居酒屋が並んで、そのまま正面に、『男はつらいよ』の寅さん像がある。

二人から相次いで遅れる旨の連絡。二人とも多忙ではあるし、仕方ない。付近を散歩する。帝釈天のある題経寺の参道方向は後ほど行くので、寅さん、さくらの像の横を抜け別方向へ行くと、なんと、シャディのサラダ館があるではないか。営業時間外だったのか開いてはいなかったが、30年以上前に見たコマーシャルを思い出し、ちょっと心が騒ぐ。

合流時間も近づいたので、待ち合わせがてら、駅前の居酒屋「春」に入る。親子だろうか、見目麗しい女性二人が甲斐甲斐しく働く中、瓶ビールと煮込みで一息。店内を見まわすと、渥美清はじめ柴又ゆかりの人々と、若き日のママとの写真が飾ってある。聞くと店舗移設で数年前に改札前の現在地に移ってきたそうで、営業自体は40年以上だそうだ。

ママと四方山話をしているうちに、A氏、G氏も店に到着。これから食べ歩くことになるはずなのでつまみは最小限にしたが、メニューにあった行者にんにくを僕がどうしても食べたくて所望。醤油漬けの行者にんにく、歯触りと確かなにんにくの風味がよい。

ハイボールやお茶割を飲みつつ、A氏が壁のフライヤーを目ざとくみつけ、「この柴又ブラジャーって何ですか?」とママに尋ねる。よく見るとフライヤーの写真はママ自身。どうも、ブランデーとジンジャーエールの名物カクテルらしい。さっそく頼んだ柴又ブラジャーが来るや否や、ママと記念撮影をするA氏の素早さ。

すでに楽しくなってきた中、G氏曰く、「僕はまだ寅さん像にもたどりついてないのに、このままここで終わりそうです」。そうだ。先着した僕こそ周囲を少し散策したが、二人はまだ寅さん像の手前なのだ。「また戻っておいで!」ママの楽しい接客に後ろ髪引かれながら「春」を後にし、参道方向へ。

寅さん、さくらの像を愛でつつ参道に向かうが、途中左手にまた罠が。駄菓子屋だ。ほいほいと入ってしまう我々。各種駄菓子の他、ブロマイド、玩具などがキラキラし、かつて少年だった中年たちの心が鷲掴まれる。店の奥には、ピンボール4台とアーケードの筐体が3台。ついつい遊んでしまう。「いかんいかん、せっかく柴又来たのに」。誰からともなく言い出し、どうにか脱出に成功。

ここでようやく帝釈天の参道入口。

参道も誘惑が多い。我々のような観光客がいい感じの密度でひしめきつつ、左右の玩具屋、団子屋、仏具屋その他もろもろ、観光地とは分かっていても気はそぞろ。いつの間にか、G氏は芋羊羹のバター乗せを買って歩き食いし、僕も玉こんにゃくを買い食いする。どこかの店頭で揚げている天ぷらの油の匂いがやたら香ばしい。これも危ない。天ぷら屋に入ると腰を落ち着けて飲みそうなので、三人どうにか我慢し、あちこち店を冷やかしつつ、どうにか帝釈天の門までたどり着く。

営業時間もあることから、帝釈天へのお参りを後にし、まず近くの寅さん記念館を訪ねることに。道の案内表示を見ると、寅さん記念館からほど近くにかの有名な「矢切の渡し」がある。細川たかし他有名歌手が歌う名曲の舞台。寅さん記念館の営業には間に合いそうなので、先に矢切の渡しへ。

寅さん記念館の横を素通りして脇の階段を上ると、江戸川河川敷の眺望が広がった。広々とした河川敷に、スポーツや散歩など思い思いに楽しむ人々。堤防を降り、河川敷の草を踏みしめ向かうと、川のほとり、木に白い文字で「矢切の渡し」と書いてある渡し場で、渡し賃は200円。至近には歌碑。意外にしょぼいが、まあ、これはこれで。暑すぎず寒すぎず、ちょうど陽も出た午後、広々とした河川敷、風。心地よい。寅さん記念館に戻る。

で、寅さん記念館。あまりにも有名な『男はつらいよ』シリーズ、なんとなく知ってはいたが、あまりちゃんと見たことは無い。第一作が1969年で、渥美清演じる車寅次郎は、当時34歳の設定。今の自分よりはるかに若い。映画の世界もあるが、飲み物食べ物交通商店など、50年以上前の風俗文化を知る場所として面白かった。映画の中とはいえ、フーテンの寅という当時でも社会のはみだし者であったろう存在に注がれた温かい目は、令和の世の中に存在するのだろうかとふと思った。

 寅次郎無き浮世にも陽は登り川は流れて人の心は

日がいささか傾きかけてきたころ、帝釈天題経寺を参拝する。各々何かしら祈ったのだろうが、特に問うことはしない。時間がやや遅かったのか、いろいろ見物できるはずのところが閉まっていたのは残念だが、それも運命だろう。おみくじを引くなり何なり、境内をちょっと散策して次へ。

腹が減ってきたので、そろそろ本格的に飲食を考え出す。まずは、帝釈天参道の「川千家」。うなぎや鯉が名物の料理屋だ。本来ならうな重でも食べたいところだが、酒を飲みたいので、鯉の洗い、うざく、骨せんべい、板わさなどを肴に、思い思いに日本酒や焼酎をたしなむ。骨せんべいのぽりぽりとした食感と、ほどよいうなぎの風味、ちょっとした脂っけが妙に気分に合い、ついついおかわりする。鯉こくも食べようと考えたものの、もう1~2軒行くことを考え、我慢。

川千家を出ると外はすっかり暗く、参道の店のほとんどは閉店で、観光客もほとんど姿を消していた。時計を見るとまだ18時ころ。ふだん深夜酒を飲む我々としてはその潔い閉店っぷりに驚きつつ、誰かが声を上げる。そちら見上げると、賑やかさが失せた参道を仄かに照らす月。

 店々の帳は落ちて題経寺ふりさけ見れば柴又の月

なんとはなしに、皆神妙な気持ちになる。柴又駅に戻ると、かの居酒屋への再来訪になりかねない。それはそれで悪くは無いのだが、ちょっと気分を変えたく、柴又街道へ。柴又街道を南にまっすぐ歩いていくと、小岩にたどり着けるのである。北総線の新柴又駅を過ぎ、途中セブンイレブンでトイレを借り、興に乗った僕がシャボン玉キットを買ってシャボン玉を飛ばしながら、京成の小岩駅を過ぎて、ホワイト餃子があることに驚きつつ、蔵前橋通りへ。時間にして20分強。もう、小岩だ。

先ほどが川魚であり、誰ともなく肉系がよいとのことで、「もつ焼き植むら」にする。小岩はあまり知らないが、自分としてここは推せる店。煮込みも串ものも佳い。各自思い思いに注文する。一人で来るのと違い、ふだん自分が食べないものも食べられる。

白っぽい色目のモツ煮込みからはほの優しい旨味がじんわりとくるし、店のオリジナリティである名物満満焼き、おそらくかしらを味噌だれに漬けて串焼きにしたものだろうが、これはかしらのみっちりした食感と力強い風味に濃い味噌が合う。G氏が「あぶら、ありますね」と嬉しそうに頼んだあぶら、自分ではふだん頼まないその串にかぶりつくと、じゅっとくる脂とその芳香が素晴らしい。ビール、ホッピー、茶割などと合わせ、他諸々、ひとしきり堪能する。

腹もくちくなり、JR小岩駅で解散。僕一人別方向の電車なので、皆が去ったホームに残り、その日の余韻を噛み締めた。

≪横浜編≫
https://daily-news-portal.blog.ss-blog.jp/2022-08-10

≪浅草編≫
https://daily-news-portal.blog.ss-blog.jp/2022-10-08


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