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読書寸評、2022年3~4月 [読書]

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■カルロ・ロヴェッリ『すごい物理学入門』
一般相対性理論と量子力学を軸とした現代物理学の概説。『ホーキング宇宙を語る』と内容少し重なるけど、ずっと読みやすく、かつ内容をほどよく忘れてたのでちょうどよい。不確定性原理の応用力を感じる。高校時代、物理は赤点回避に四苦八苦で身につかなかったので、罪滅ぼしに。

■シドニー・W・ミンツ『甘さと権力』
主に17世紀から19世紀にかけてのイギリスでの砂糖の普及を中心とした、社会経済史。中世では王公貴族にとっての希少品だった砂糖が、植民地と奴隷労働、ついで自由主義経済を通じ、労働大衆にまで広まり、かつ砂糖の社会的意味が変わっていく様子が活写されていて面白かった。

■高見玄一郎『港の世界史』
港湾の機能や船舶の観点で、古代オリエントから、ミケーネ、フェニキア、春秋戦国、ギリシア、ローマ、ビザンチウム、隋・元・明・清、ベネチア、ハンザ同盟、スペイン・ポルトガル、オランダ、イギリス、アメリカへと連なるクロニクル。物流は国力に直結すると痛感。面白かった。

■伊東潤『江戸を造った男』
江戸時代の豪商、河村瑞賢の伝記。航路開拓や鉱山開発、治水などへの辣腕は、戦国の世が江戸時代に生まれ変わる過程そのものとして、実に興味深い。随所に出てくる「男」のダンディズムにも味がある。江戸の繁栄を創り上げた男たちの一つの結晶を堪能した気分。

■月村了衛『脱北航路』日本人拉致被害者を伴い潜水艦で日本亡命を試みる北朝鮮海軍の人々が、苛烈な妨害を紙一重で躱す様の凄まじさ。独裁で腐敗しきった北朝鮮と事無かれ主義で身動き取れない日本、対照的ながらどこか相似な二つの国。見捨つるほどの祖国はありや?を痛切に感じた。

■吉川洋『高度成長』
朝鮮戦争や都市部への人口流入、核家族化等の主要因と、輸出や貯蓄等のサブ要因といったメカニズムがわかりやすい他、具体的な生活の変化も興味深い。成長の負の側面に触れつつ、「「高度成長」に大きな花束を送りたい」という著者の最後の感慨がやけにずっしりきた。



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