瓢箪から出たコマか。香港の国家安全法と中国共産党政権 [国際]
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あくまで報道からでしか知らないのだが、最近の中国共産党政権の対外関係がどうもぎくしゃくしているように見える。もっとはっきり言えば、自ら国際的な孤立を招いているかのようだ。
元々GDPで日本を抜いた2010年ころから、中国はアメリカを中心とする世界秩序への挑戦を隠さなくなってきた。日本とは、尖閣諸島をめぐり険悪な状況にある。インドとも軍事的紛争が絶えず、おせじにも友好関係があるとは言い難い。
南シナ海における中国政府の人工島敷設で東南アジア諸国とも軋轢ができたと思えば、新型コロナウイルスを巡る対応でオーストラリアとも関係が悪化した。
そして、周庭女史の逮捕などを含めた、今回の国家安全法を巡る香港への対応だ。
この件に関しては、これまで経済的に関係が深かった欧州(特にドイツ)も、表立って中国政府を支持できる状況ではなくなったのではなかろうか。
このように、東、南、西で関係を悪化させている中、北のロシアとだけは比較的穏当な関係を構築しているようだが、同盟関係を結べていない以上、中国政府として安心はできないはずだ。
文革以降、天安門事件の後始末も含め、どうにかこうにか概ねの現実主義外交をとり経済発展を実現させてきた中国外交とは思えない稚拙さではないかと思う。
経済の対外依存度を高めている中国にとって、対外関係の悪化は経済成長の足かせになるはずだ。経済成長の鈍化は、一党独裁で政治的自由を制限している共産党政府の正当性をぐらつかせ、国内外で批判の声が高まることになりかねない。
政府批判を抑えるには、香港のような政治的な統制をさらに強めることが考えられるが、それを繰り返せば欧米諸国や日本などからの反発は避けられないだろう。
また、外敵に対するナショナリズムの喚起も、共産党批判の回避に一定程度の成功は収めるかもしれない。ただ、政治的自由が制限され、政治に影響力を持つ共産党員が人口の約6%しかいない中国においては、ナショナリズムの前提となる国民と政府の一体感が希薄である。
そのため、ナショナリズムの喚起には限界があるだろうし、仮にナショナリズムを高揚させようとすれば政治的自由をより広く認めなければならず、共産党政権の存在そのものと矛盾することになる。もちろん、ナショナリズムの喚起により、外敵とした国々との対外関係はさらに悪化し、さらに難しい外交を強いられることになる。
このように、
「外交関係の孤立→経済成長鈍化→共産党政府批判→統制強化・ナショナリズムの喚起」
というスパイラルに、中国共産党政権が陥り始めているのではないかと疑うのである。
まあ、中国共産党政権がどうなろうと知ったこっちゃないし、調子こいてた報いだろ、と正直思わないでもないのだが、それなりに関係の深い隣国だし、経済や軍事の規模もデカいし、あまり滅茶苦茶になって日本に災厄が飛び火するのもイヤだとは思う。
日本としては、できれば何らかの譲歩を引き出したいが、とりあえず一喜一憂せずに公式見解とそれに基づく最低限の対応を繰り返しておき、中国が本当に困っているのか、何でどう困っているのかを見据えた上で具体的な追加対応を考えるのがよいのだろう。
ともあれ、民主化を統制しようとしたはずの香港の国家安全法が、中国共産党にとって国内外での変化を強いられ逆効果になるのではないかと考えると、そんな瓢箪からコマみたいな事態が、ちょっと楽しくはあるのである。
素人の床屋政談、以上。
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あくまで報道からでしか知らないのだが、最近の中国共産党政権の対外関係がどうもぎくしゃくしているように見える。もっとはっきり言えば、自ら国際的な孤立を招いているかのようだ。
元々GDPで日本を抜いた2010年ころから、中国はアメリカを中心とする世界秩序への挑戦を隠さなくなってきた。日本とは、尖閣諸島をめぐり険悪な状況にある。インドとも軍事的紛争が絶えず、おせじにも友好関係があるとは言い難い。
南シナ海における中国政府の人工島敷設で東南アジア諸国とも軋轢ができたと思えば、新型コロナウイルスを巡る対応でオーストラリアとも関係が悪化した。
そして、周庭女史の逮捕などを含めた、今回の国家安全法を巡る香港への対応だ。
この件に関しては、これまで経済的に関係が深かった欧州(特にドイツ)も、表立って中国政府を支持できる状況ではなくなったのではなかろうか。
このように、東、南、西で関係を悪化させている中、北のロシアとだけは比較的穏当な関係を構築しているようだが、同盟関係を結べていない以上、中国政府として安心はできないはずだ。
文革以降、天安門事件の後始末も含め、どうにかこうにか概ねの現実主義外交をとり経済発展を実現させてきた中国外交とは思えない稚拙さではないかと思う。
経済の対外依存度を高めている中国にとって、対外関係の悪化は経済成長の足かせになるはずだ。経済成長の鈍化は、一党独裁で政治的自由を制限している共産党政府の正当性をぐらつかせ、国内外で批判の声が高まることになりかねない。
政府批判を抑えるには、香港のような政治的な統制をさらに強めることが考えられるが、それを繰り返せば欧米諸国や日本などからの反発は避けられないだろう。
また、外敵に対するナショナリズムの喚起も、共産党批判の回避に一定程度の成功は収めるかもしれない。ただ、政治的自由が制限され、政治に影響力を持つ共産党員が人口の約6%しかいない中国においては、ナショナリズムの前提となる国民と政府の一体感が希薄である。
そのため、ナショナリズムの喚起には限界があるだろうし、仮にナショナリズムを高揚させようとすれば政治的自由をより広く認めなければならず、共産党政権の存在そのものと矛盾することになる。もちろん、ナショナリズムの喚起により、外敵とした国々との対外関係はさらに悪化し、さらに難しい外交を強いられることになる。
このように、
「外交関係の孤立→経済成長鈍化→共産党政府批判→統制強化・ナショナリズムの喚起」
というスパイラルに、中国共産党政権が陥り始めているのではないかと疑うのである。
まあ、中国共産党政権がどうなろうと知ったこっちゃないし、調子こいてた報いだろ、と正直思わないでもないのだが、それなりに関係の深い隣国だし、経済や軍事の規模もデカいし、あまり滅茶苦茶になって日本に災厄が飛び火するのもイヤだとは思う。
日本としては、できれば何らかの譲歩を引き出したいが、とりあえず一喜一憂せずに公式見解とそれに基づく最低限の対応を繰り返しておき、中国が本当に困っているのか、何でどう困っているのかを見据えた上で具体的な追加対応を考えるのがよいのだろう。
ともあれ、民主化を統制しようとしたはずの香港の国家安全法が、中国共産党にとって国内外での変化を強いられ逆効果になるのではないかと考えると、そんな瓢箪からコマみたいな事態が、ちょっと楽しくはあるのである。
素人の床屋政談、以上。
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2020-08-12 14:36
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