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シラスウナギの歴史的不漁。日本は資源管理に大きく踏み出せるのか? [経済]

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ウナギの稚魚であるシラスウナギが歴史的不漁となる見込みです。参考記事によれば、シラスウナギの漁獲量はピークの1963年(232トン)以降減少傾向にあり、近年最低だった2013年で5.2トン、2018年はそれを下回る見通しとのこと。

現在流通しているウナギの多くが養殖ですが、卵からの完全養殖が未だ商業ベースに乗っていないため、養殖はシラスウナギの育成によって行われます。したがって、シラスウナギの不漁はウナギの価格や流通量に直結します。また、海外からの輸入の多くを占める中国、台湾産も、日本近海に来るウナギと産卵場所はほぼ同じと考えられており、同地域のウナギが減少していることを考えれば、ウナギの高騰は避けられないでしょうし、養鰻業者や鰻専門店には大打撃となるでしょう。

とはいえ、日本近海に限ってもウナギの減少傾向は続いていたわけであり、資源保護を巡る国内外の取り組みが後手後手に回っていたことは否めません。予想されるウナギの高騰により、ウナギの消費量は抑えられる一方、高騰を狙ってさらなる乱獲が懸念されることから、市場経済に任せるだけでは、近い将来、ウナギは絶滅状態になるでしょう。

ウナギの資源保護のための国内外の枠組みを作るとともに、密漁や不正取引の取り締まり、違法流通に対する収益のはく奪を強化するとともに、生態の把握を含め、完全養殖の実用化に向けた研究を加速させるための投資を行うべきです。また、場合によっては、養鰻業者や鰻専門店の廃業に対する手当も必要になるかもしれません。

過去、ニシン、ハタハタ、ホッケなど、乱獲や資源管理の失敗によって日本近海から姿を消し、食卓から遠ざかった魚種がいくつも見られました。ウナギもすでにそうなりつつあります。同じ失敗を繰り返さないよう食い止められるか、大げさに言えば、水産業に関する日本の政治・行政の底力が問われているのではないでしょうか。

≪参考記事≫
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25757510W8A110C1QM8000/


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