SSブログ

スンガリー、ブリヌイ、いつの日か [新宿]

スポンサーリンク




新宿のスンガリーと言えば、言わずと知れたロシア料理の名店だろう。

初めて行ったのはいつだったか。20年近く前だったはずだが、覚えていない。西武新宿前の店も、スバルビルの店もどちらも訪れたことがあるし、スバルビルから移った三丁目店にも顔を出したことがある。とはいえ訪れるのは、1~2年に1度くらいだろうか。

独り、豚の脂身の塩漬けを肴にウオッカをあおったこともあるし、仲の良い友人知人とさし飲みでグルジアワインとロシアンティーを嗜んだこともある。とある知人の送別会が開かれたこともあったっけ。そういえば昔、月村さんとの打ち合わせで使ったこともあった。

レモンバターで食べるペリメニ(水餃子)もよい。酸味と野菜の風味が利いて、どんぶりいっぱい飲みたいはずのボルシチの皿を恨めし気に眺めたこともある。ハヤシライス的なものを想像したビーフストロガノフが、意外に肉がしっかりしていて食べ応えがあったのも楽しい。他にもいろいろ飲み食いしたことがあるのは間違いない。

でも、好物をあげるならば、やはりブリヌイに限る。マリノーブナヤ・ケタとブリヌイ(ロシア式フレッシュサーモンマリネのブリヌイクレープ包み)なんである。

注文してしばらくすると、まず皿に盛られたサーモンマリネやらブリヌイやらを見せつけに来る。これからこいつらを包みますよとの宣戦布告。軽くうなずいてしばし待つと、今度は半分にたたまれたパンケーキが皿に載って現れる。野菜やサーモンのチラリズムが心憎い。

おもむろにナイフとフォークをとり、一口大に切って食らう。ふむ。

サワークリームの酸味とコク、サーモンの滑らかな舌触りと風味、タマネギのしゃっきりした歯ざわりと爽快さ、細かく刻まれたトマトの香り、仄かな香草、そしてそれらを包み込むやや厚めのパンケーキのしっとりとした強さ。これらが口の中を瞬時に駆け抜けるのである。

美味い。

ナイフとフォークをせわしなく動かすうちに、皿の上に存在が消えてしまう。なんと。そうすると、次の料理が運ばれてきてそちらに目が移る。ブリヌイは、いつも前菜ないしは二品目くらいに出てきては、味覚に対し鮮やかに先頭打者ホームランをかっ飛ばしていく素晴らしい食べ物なんである。

その後に出てくる料理も期待を決して裏切らない。裏切らないのだが、舌の記憶の一部は間違いなくブリヌイにある。どうしようもない。

いつの日か、コースも何も頼まず、ブリヌイだけを何回かおかわりしてワインとだらだら楽しみたいと願う。だが20年近く、様々なシーンで訪れている店のはずなのに、まだそうはできずにいる小心者の僕なのである。




スポンサーリンク



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:グルメ・料理

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。