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ささやかな愛着、煮こごり [食べ物系]

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たまに、煮こごりが食いたくなるんである。

子どものころ、赤魚の煮つけがよく晩飯に出た。
夜遅く、腹が減って口さみしくなる。

すると寝床を這い出し、こっそりと冷蔵庫を開け、晩飯の残りの赤魚の皿、
そのふちにたまった黒い煮こごりを指ですくって舐める。

ふるふるした食感。

口の中がひんやりし、赤魚の脂とコク、そして甘じょっぱさがじんわりくる。
赤魚自体を食ってしまうとつまみ食いがバレるので、あくまで煮こごり部分のみ。
そんな思い出。

三つ子の魂百までではないが、大人になっても、やはり煮こごりは好きだ。

カスベやサメの煮つけにくっついている煮こごりもよいし、
あらかじめ長方形に切ってある、フグかサメか何かの皮で作ったヤツも捨てがたい。

渋谷の『鳥竹』で頼む鶏の煮こごりも好物である。

煮こごりはフランス料理だとアスピックと言うらしく、そういえば、
新宿は『ベルク』で食らうポークアスピック、つまりあれは豚肉の煮こごりか。
これも美味いのである。

なかなか、煮こごりだけがスーパーとかで売ってることはなく、
居酒屋とかでも、常備しているところはあまり見ない。

おかしいなあ。もっと世に煮こごりが普及してもよいのに。

そう心の中で思いつつ、かといって、煮こごりのために旗を振る程でもない、
そんな中途半端な愛着を、煮こごりには抱いてしまうのである。



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