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偏愛、『ウィザードリィⅠ~狂王の試練場~』 [その他]

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『ウィザードリィⅠ~狂王の試練場~』(ファミコン版)はかなり好き。

3Dダンジョンを舞台にした剣と魔法物RPGの傑作。海外からの移植ゲーム。

魔術師ワードナに盗まれたアミュレット(護符)を、狂王トレボーの命により奪還しにゆく、という単純なストーリー。地下10階までの迷宮の奥深くに潜むワードナを打倒するために、6人パーティを組んで迷宮に潜入する。

迷宮内には暗闇やトリックが張り巡らされ、敵モンスターを倒すと出現する宝箱には、ときにはパーティを瞬殺するようなおそるべき罠が仕掛けられている。

一応、ワードナを倒してアミュレットを持ち帰ればエンディングではあるのだが、そこからも、欲しいアイテムを探したり、キャラクターのレベルを上げたりのためにモンスターを倒しつつ、ひたすら迷宮と地上を出たり入ったりするゲーム。

当時小学生だった僕は、ゲーム自体のシンプルさとそこから立ち上る想像力の豊穣さに、一挙に魅せられてしまった。そしてその気持ちは、30年以上経った今でも、変わることなく息づいている。

ヨーロッパ風の剣と魔法の世界にも関わらず、ニンジャやサムライが登場。至高のアイテムである手裏剣や村正は、ワードナを倒した後でも根気よく迷宮探索を繰り返さなければ見つからないが、その苦労がよい。

戦闘や罠や毒などで、パーティーのメンバーはあっけなく死んでしまう。生き返らせようとしても、かなりの確率で灰になり、そしてロストとして永久に失われてしまうのは、とてもとても儚く、胸がかきむしられるよう。

通常のプレイ画面は、ひたすらダンジョンの壁面と、プレイヤーのパーティのステータスに関する文字のみ。しかも、設定でダンジョンの壁面を線画にすれば、本当に真っ暗な背景と白い直線と白い文字しかない。貴重なアイテムも、「しゅりけん」「むらまさ」という白い文字に過ぎない。あまりにもストイックで、想像力をこねくり回される。

そんな想像力の無限の混沌の中に屹立として立つ、末弥純描くモンスターの流麗なイラストと、羽田健太郎の荘重にして軽妙な音楽。ファミコン版、日本版のアレンジらしいが、これが実に素晴らしい。

もちろん、1だけでなく2も3もそれなりに楽しいのだが、心に響いたファーストインプレッションは、やはり1に敵いはしない。

ああいう、どこか未知の世界に入っていくような、どこかドキドキした気持ちは、ゲームの出来のよさと、自分の幼さとそれゆえの好奇心と、日本人向けのアレンジの、全てが合理的に混和された、幸せな経験だったと言えるだろう。そのようなドキドキが、その後の人生で滅多にやってくるものではないと、子供の僕は知る由もなかったが。

でも、そのような経験があったことを、ささやかながら大事にして生きていきたい。もはや冒険者でも何でもない中年男性に過ぎない僕だが、いつだって、狂王の試練場に行く心づもりはできているのである。

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