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【読書】名将言行録 [読書]

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先日久しぶりにジャケ買いした本が、『名将言行録』の現代語訳。
講談社学術文庫から出ているやつ。

海音寺潮五郎の『武将列伝』などでもよく引き合いに出されていた
ため、すぐに購入してしまった。で、折に触れ楽しく読んでいる。

もとは、戦国時代から江戸中期ころまでの武将約200人の言行を、
幕末から明治初頭にかけて、館林藩士岡谷繁実がまとめたもの。

後北条氏の開祖、北条長氏(早雲)から、変わり種では忠臣蔵の
大石良雄まで手広い。学術文庫版では、そのうち戦国時代を中心
とした有名どころ22人が掲載されている。

もっとも、『名将言行録』については、資料の精査が足りなかったり、
より信頼性の高い資料と比較して事実に反する例が散見されるなど、
歴史的な意義としては、現在「トンデモ本」に近い扱いである。

だからといって『名将言行録』が面白くない、歴史的な価値が無いと
するのは、やはり早計だ。

確かに、『名将言行録』で語られる様々なエピソードは、必ずしも
物的証拠や客観的な資料で証明されたものではないのかもしれない。

しかし、それが広く読まれてきた背景として、描かれたエピソードが、
何となく抱く歴史上の人物イメージに合致していたことがあるのだと
思う。

ここまで書いてきて、同じような事例を思い出した。
トゥキディデスの『戦史』。

そこでは、様々な指導者の演説や発言が記されている。名高いのは、
古代アテネの指導者ペリクレスの格調高い演説。実はこれも、資料的
裏付けは希薄なものらしい。

しかし、その内容は、古代アテネの理想的な生き方、民主政治の一つ
の考え方を語るものとして、ペリクレスの存在を超えた価値を持つ。

結局、『名将言行録』は、歴史上の人物やエピソードを一部借りて、
日本人が抱く「名将」のイメージ、いわば共同幻想を紡いだ本として
読むのがよいのかもしれない。

まあ、普通に読んで面白いのだから、読み方なんざどうだっていい、
と言ってしまえばそれまでなのだがね。

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