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やや、夏を先取り [食べ物系]

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先日、ふらり立ち寄った居酒屋でホヤが出ていたので、少し早いと思いつつ、
食らうことに。

そういえば、赤黒く丸く髭根のついた不思議な塊に包丁を入れてさばく父の姿を
見て、幼心に、こいつは食い物じゃねーな、という思いを強くしていた。

身の欠片を食わされても、正直生臭く、何が美味いか全く分からなかったし。

それが、だ。

橙色に怪しく輝く身を口に入れればほのかに潮の香りがして、弾力を噛みしめれば、
苦味にも似たコクが舌の根に染み入るように流れ込む。強力な、三陸系の海の味。
種類的には牡蠣に近いような旨味なんだろうけど、印象は全く異なる。

酢との相性もよく、付け合せられるキュウリとの色合いも素晴らしい。

口の中に微かに残る風味を酒で洗い飲み下すと、喉の奥を旨味が駆け抜け、
爽快感に近い何かを感じる。

いやはや。

小鉢の肉片をいとおしげにつまみ、ホヤの芳醇さに思いを馳せてしまう。

日本酒を覚え始めると、全体的に海産物の美味さが何割か増しになすのだが、
ホヤの場合はそれが顕著だったような気がする。

別に世の中にホヤが無くなっても困らないのは承知している。しかし、なくなったら、
日本の夏の楽しさが幾分か削られることになるのは、間違いなかろう。

などと、少し早めの夏の話。



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