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【読書】ペニンシュラ・クエスチョン [読書]

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『ザ・ペニンシュラ・クエスチョン』(船橋洋一)がやはり面白い。

小泉訪朝前後から2000年代半ばころにかけての、朝鮮半島外交のクロニクル。
日、米、韓、中、露、そして北朝鮮。プレーヤー達の思惑が交錯する。

北朝鮮の核開発に際し例外を認めない不拡散派と、
柔軟な関与政策を模索する地域派が対立し、対応が二転三転するアメリカ。

絶大な影響力を保持しながらその維持のために強硬に出られない中国。

小泉訪朝で正常化に大きな一歩を踏み出しながら、
拉致問題で紛糾した世論を収拾できない日本。

ナショナリズムの高揚で、日米との関係悪化を余儀なくされる韓国。

そして、小泉訪朝や六カ国協議という近隣国との関係改善の機会を、
一貫して失い続けた、北朝鮮。

北東アジアに蔓延る相互不信という基調低音に、
いささか暗い気持ちになる。

普仏戦争、2度の世界大戦で仇敵となったドイツとフランスが、
どのように手を携えてEUの中核になったのか、欧州の例を紐解きたい気分。

さて、『通貨烈々』も『同盟漂流』も、船橋洋一氏のノンフィクションは、
超人的な英雄が作るのでもなく、個人が時代の流れに埋もれるのでもない、
リアルな歴史であるように感じる。

あえて例えるならば、こっくりさんか。

各プレーヤーの指は真ん中の硬貨に様々な力で働きかけるが、
硬貨は、彼らの思いもよらない姿を描いてみせる。

彼らの現場で必要なのは、心地いい、カッコいいスローガンに酔わず、
不愉快な状況に耐えて物事を進めるスタイルなのだろう。

巷に流れるカッコいい言葉達に、わずかばかりの疑いを。
そんな気持ちにさせられた。



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