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The phantom of Mao [読書]

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「周恩来秘録」(文春文庫)読了。

文革期から死に至るまでの、周恩来の行動を追ったもの。 題名こそ周恩来ですが、毛沢東の存在感が、もう圧倒的です。

フルシチョフによるスターリン批判に驚いた毛沢東は、大躍進政策で疲弊した経済の回復を進める劉少奇と鄧小平に、 死後自分の功績を否定されるのではと、恐れを抱きます。林彪と、江青含む四人組による執拗なプロパガンダを後押しし、 劉少奇を失脚&軟禁&非業の死という3連コンボに追いみ、鄧小平は、失脚&追放の憂き目に。

いわゆる、文化大革命。

お次は林彪と江青の仲が怪しくなり、妻、江青の肩を持つ毛。文革期に毛主席語録を振りかざして威勢を振るった林彪も、 最後は、飛行機で逃亡を図らざるを得ないほど追い詰められ、 あえなく墜落死。

文革期の権力闘争中も一貫して首相を務めた周恩来は、 政策的には、劉少奇等に近く、文革での粛清をできるだけ押しとどめようとするも、土壇場で、必ず毛を支持してしまいます。 毛沢東の意を受けた江青にどんなに罵られようと、決して表面からは逆らわず、恭順を示し続けるのは歯がゆさすら覚えるほど。

結局、周も、劉少奇や林彪およびその周辺に対する、 粛清の血に手を汚してしまうことに。

周恩来のかつての意見相違等を、直接、間接、かつ執拗に 指摘し、ほのめかし、うそぶき、なぶりつつ、心を噛み砕く 毛沢東のやり方は、もはや悪魔的といっていいでしょう。

林彪の死に、周恩来は慟哭したそうです。

劉少奇や林彪の影に隠れたNo3だった周恩来が、こうして、No2に押し出されます。ニクソン訪中を頂点に外交舞台で華々しい活躍を 繰り広げる周恩来を、苦々しく見つめる毛沢東。 すでに膀胱がんを発症していた周恩来の医療チームに対し、 同じく健康を害しつつある毛沢東は、癌の治療を差し控えるよう指示し、さらに鄧小平を政治的に復活させ、周恩来への牽制にあてがいます。

周恩来は、膀胱がんに肉体を、毛の仕打ちと手を染めた粛清の悔恨に精神を苛まれつつ、溶け落ちるように死にました。 その死を聞いた毛沢東は、祝いの花火を上げた、とのこと。

毛沢東というのは、やはり絶望的かつ圧倒的な個性の持ち主なのだと腑に落ちます。

もし、中華人民共和国の建国のアイデンティティが、 毛沢東思想にあるのならば、また、その思想が指導層に
深く染み渡っているのならば・・・。

国家として、仲良くするにも敵に回すにも、 フンドシを締めてかからなきゃなるまいと改めて感じました。



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