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外務省HPからなぜ削除?韓国との「基本的な価値」の共有とは [国際]

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3月2日付で更新された外務省のWEBサイトで、韓国との二国間関係を紹介する文言の変更が話題になっています。従来は、「我が国と、自由と民主主義、市場経済等の基本的価値を共有する重要な隣国」とされていた個所が、「我が国にとって最も重要な隣国」と簡略化されたためです。

日本政府の公式な説明では、「外務省のホームページは、どんどん更新している。韓国は、わが国にとって重要な隣国であり、未来志向の関係を築いていくことが必要だという日本の考え方は全く変わっていない」(菅官房長官会見)と冷静です。しかし、産経新聞支局長が韓国大統領への名誉棄損で在宅起訴されたことや、日韓の条約で解決済みとされた戦時徴用問題に対し韓国裁判所が賠償責任を認める判断を下したことから、韓国の「法の支配に問題がある」という指摘もあるようです。

韓国で本件が報じられたところ、日本と同様過激化しがちなインターネット上では、日本を非難する書き込みがあふれた他、韓国政府も「表現がどのような経緯で変更されたのか日本政府から説明があるべきだ」とするコメントを出し、日本側に説明を求める考えを示しました。

では、なぜ、韓国を刺激することにつながる、「基本的な価値」の共有という文言の削除がなされたのでしょうか?言い換えれば、この記述の削除で、政府は、どのようなメッセージを国内外に伝えようとしたのでしょうか?

おそらく、

韓国が、日本との関係よりも中国との関係を優先していることを日本が公式に認め、かつ韓国のその方針を変えさせる手段が今のところ存在しない、ということなのだと思います。日本とアメリカは依然「基本的価値」を共有した関係であることから、さらに言えば、「韓国は日米同盟から離れつつある」ことを日本が公式に認めた、といっても過言ではありません。

今回の外務省の文言変更は、それ以前の総理の施政方針演説や外務大臣の外交演説を踏まえたものとされており、偶然のものとみるべきでは無いと思います。加えて、アメリカでも、国務次官が歴史認識論争に関し韓国の態度に批判的な発言をしたりしたことなども、その延長線上だといってもよいでしょう。

つまり、日米は、韓国と当面距離を置くことを選択し、日本がその表明をしたと言えそうです。これによってどのような影響が生じるでしょうか。

米国としては、これまでの米韓関係上、韓国は、いったん突き放せばまた帰ってくる、程度の認識で高をくくっているのかもしれません。しかし、駐韓米国大使が襲われ大けがを負うなど、もはや韓国国内のナショナリズムは避けがたい流れです。いかに韓国政府が米国との関係改善が合理的だと考えても、国内世論が許さない可能性が高いのではないでしょうか。

とはいえ、韓国との同盟関係が弱まったとしても、朝鮮半島への影響力が少なくなるという点を除いては、地勢的に大きな問題は生じないでしょう。

韓国としては、米国や日本との関係改善が国内世論からどうしても望めない以上、やはり中国に接近せざるを得ません。中国は、北朝鮮の軍事力行使や挑発を抑え込むことで韓国に恩を売り、東アジアでの反日(ひいては反米)枢軸を作りたいところです。

いい面の皮は北朝鮮でしょう。中国の言うことをそれなりに聞いていたのに、明白な敵である韓国と頭ごなし関係を深め、あまつさえあまり韓国を刺激するなとさらに上から指示してくることになるはずだからです。当面この情勢が続けば、北朝鮮国内の有力者、特に軍隊の対中感情は悪化をたどるでしょう。

さあ、日本はどうするか。韓国との関係改善は、おそらくすぐには望めないでしょう。ただ、歴史認識問題などに関しこれまでの説明からかけ離れることで、欧米や他のアジア諸国からの反発が起きることは、慎重に避けるべきだと思います。

その上で、孤立しつつある北朝鮮から、できるだけ多くの譲歩を引き出すべく動くときだと思います。拉致問題の調査然り、核開発の透明化しかり。加えて、国交正常化に向けた要人やスポーツ選手などの表敬活動なども、活発にすべきときかもしれません。

もっとも、これまで述べた現在の日米韓中北朝鮮の関係は、必ず揺り戻しがくることになります。

どんなに日本と北朝鮮が仲良くなったとしても、北朝鮮の現行体制では、どうひっくり返しても「基本的価値」を共有することはできません。おそらく、中国も、民主政治に慣れた韓国国民を戦車で武力弾圧することなどできはしないでしょう。

結局、各国で大規模な政治体制の変更がなければ、なんだかんだ言っても、「基本的な価値」として、日米韓のグループと中朝のグループにまとまってこざるを得ないと思います。現在は、そのちょっとした揺籃期にあり、日本としてその間隙をうまく縫うような外交を政府に期待したいところです。




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