SSブログ

働き方改革の柱は?外国人労働者の受入など [労働]

スポンサーリンク




政府の「働き方改革実現会議」における議題の概要について報じられています。

「同一労働同一賃金」「介護・子育て」「教育」など様々な論点が上がっていますが、やはり、「外国人労働者の受入」を巡る議論は避けられないでしょう。記事によれば、現在日本では技能実習生を含め約90万人の外国人労働者がいるとのことですが、今後人手不足が懸念される介護や農業などで、より積極的な受入を進める方策を検討するようです。

個人的には、すでに多くの外国人が日本の様々な現場で合法的に働いている以上、現状でも、外国人労働者は重要な労働力だと思います。しかし、外国人労働者の受入に関する規制を緩和する前に(あるいは並行して)やるべきこともまた、数多くあるのではないかと考えます。

一つには、そもそも外国人労働者にとって、日本が魅力的な職場ではなくなりつつあるという事実です。

長引くデフレによって世界の経済成長から取り残された日本の賃金は、相対的に下がっています。また、消費者の多くは日常生活で英語を使うわけではありません。加えて、近年のブラック企業批判や、外国人技能実習制度悪用の相次ぐ摘発があります。賃金もそれほど高くなく、せっかく学んだ英語も通じず、労働条件もそんなによくないとなれば、他国との労働者の獲得競争で日本が優位に立つことは困難です。逆に言えば、外国人労働者を招くためには、賃金を上げ、英語ないしは多言語の活用を広げ、労働条件を明確化する必要があるでしょう。

次に、日本の潜在的な労働資源は、ちょっとした工夫でまだまだ活用の余地があるのではないかと思います。

介護離職の防止や保育所の整備もそうですが、体力の衰えた高齢者や障害を持った方なども、機械や設備のユニバーサルデザイン化を進めることで、労働市場への参入は可能だと思います。また、9時5時オフィスに拘束されるような慣行では働けない人も、在宅勤務のオペレーション整備などで働ける可能性はあるはずです。このような働き方の改革の前提には、ロボットやIoTなどの先端技術が必要であり、それらへの投資喚起という意味でも、既存労働力の徹底活用(≒1億総活躍?)を進めるべきだと思います。

さらに言えば、現在すでに日本にいる外国人労働者の生産性向上や、日本にいながら政治的事情で働くことができない外国人の積極活用も重要です。

例えば、日本には難民申請中のクルド人が約2000名おり、その多くは「仮放免」などの法的に不安定な状況におかれ、合法的に就労することができません。ちなみに、埼玉県蕨市などでは、在日クルド人が積極的に日本語を学んだり、ボランティアのパトロールを通じ地域住民との共生を図ったりしています。これらの人々に就労許可を与えれば、新たに受け入れた外国人労働者よりも、効率的に働いてもらうことができるはずですし、文化的な摩擦も少なくなるはずです。

外国人労働者の受入は、労働力不足解決の決定打と考えられがちです。もちろん、一般論としては、日本に多様な人材が入ってくるのは望ましいでしょう。しかし、外国人労働者によってどんなに企業が利益を得たとしても、文化的な摩擦やそれに伴う社会不安は、結局は社会、ひいては納税者が支払うコストになります。

外国人労働者の受入とともに、労働力不足を補う他の様々な方策も、同じ程度の重要性を持つのではないでしょうか。

【参考記事】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160914-00000013-mai-soci



スポンサーリンク



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました