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ある日の赤羽行、まるます家 [食べ物系]

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たまには、赤羽で飲む。

いろいろよさげな店があるのはなんとなく知っているのだが、とりあえず行くのは、まるます家。十数年前、赤羽在住の知人(アカバネーゼ)が教えてくれたのである。

最初聞いたときは、千円未満で小さなすっぽん鍋が食えるということで驚いた。だが、メンチカツもよいし、季節の刺身もある。鰻の白焼きなんかで一杯ひっかけるのは、最高の贅沢だ。根菜がごろごろはいった牛すじの煮込みは滋味深く、夏なんかは、ゴージャスな冷や奴とでもいうべきたぬき豆腐なんかもよかろう。

要は、楽しいのである。

生活圏ではないので、年に1~2回行くかどうかだけど、衝動にかられるときがあって、この間もそんな感じでまるます家に行くことに。

週末などは並んでいることもあるのだが、その日はすんなりと。一人行動はこういうの便利。相変わらず、二列のカウンター席、気ぜわしく働くお姉さま方。中でも厨房との狭間、店の中央では、60代くらいのひっつめ髪のお姉さんが、注文や勘定の管理をこなす。司令塔のような姿は相変わらず凛々しい。

さて、まず飲み物。サッポロラガービール(赤星)があるのは素敵だ。ちょっと前までは、日本酒に、北区の酒、丸眞正宗があったのだが、蔵元が場所を変えてしまったためか姿を消していた。少し寂しい。ここはジャン酎にしておくか。

ジャン酎とは、ジャンボ酎ハイの略称。氷の入ったグラスと、炭酸で割った焼酎の1リットル瓶様が登場する。アルコール類は三本までとのハウスルールがあるが、ジャン酎は量が多いので、一本で終了である。今日の大事な相棒だ。

で、食べ物。店内のメニューの貼り紙を見回す。個人的なセオリーは、すぐに出てくる鯉の洗い。ただちょっと毛色を変えてみたく、その日たまたまあったナマコ酢とウドぬたを注文。幸いなことにまだ丈夫な歯でナマコをゴリゴリと嚙みしだきつつ、ウドのホロ苦みを堪能する。

一心地つくと、貧乏性なので、周囲の人々が飲み食いしているものが気になりだす。

右の紳士は、日本酒から入って鯉の洗いに進んだ。なるほど、そうだよな。左の紳士も、やはり日本酒と鯉の洗い、そしておしんこを追加。わかる、わかる、と思いながらナマコとウドとジャン酎。ここらで、少し温かいものが食いたいと思い、店内を物色。ああ、鰻いいなあ。鰻が美味しいのはわかりすぎているものの、近年のシラスウナギの不漁のせいだろう、高級すぎてちょっと予算をオーバーしてしまう。無念。

次善の策として、ナマズの唐揚げを注文。そうこうしているうちに、右の紳士は玉ねぎフライとカキフライを頼んでいた。左の紳士の日本酒も一本増えている。

ナマズ登場。見た目は普通の唐揚げ。身の食感はタラのようでほくほくとしていて、ほんのり、鰻などに共通するような川魚の香りがする。まずくない、決してまずくないぞ。唐揚げの熱さ、しょっぱさに進むジャン酎。ふと右の紳士、日本酒の後にジャン酎を注文。ルール違反か?店のお姉さんにたしなめられつつも、「まあ、肴が残ってるから仕方ないわね」と片目をつぶってもらっていた。こういう融通も味わいがある。

唐揚げを食って胃が温かくなったところで、ちょっと箸休めが欲しくなり、湯葉刺しを頼む。アサツキに湯葉を巻いたもの。ほんのりした湯葉の香りが優しい。すると左の紳士、「湯葉刺しって、そういうのだったんですね。僕も頼もうかな」と話しかけてきた。「そうなんですよ~」とか言いつつ、会話ともつかない会話を交わす。嫌いじゃない、この距離感。

湯葉刺しを食べ終えるころには、ジャン酎も残り少なくなってくる。そろそろ〆の一品を考えたい。温かいものがいいが、さて。すっぽん鍋か、どじょうとじか。で、選んだのが、鯉こく。鯉の身がしっかり入っていて、それなりに食べ応えもあり、味噌汁の温かさは全てを癒してくれるような優しさだ。

鯉こくを食い終わると同時に、ジャン酎も尽き、その日のまるます家は終了。ほどよい満足感。

一人で行くのはもちろん楽しいのだが、知人と行くといろいろ飲み食いができて、さらに面白いというメリットもある。また、背中に赤い羽根が生えたような気分の時に、まるます家を訪れたいもんなんである。


【まるます家】
https://tabelog.com/tokyo/A1323/A132305/13003778/


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