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【読書】フィリピン―急成長する若き「大国」 [読書]

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日本では、フィリピンの一般的なイメージというと、バナナやフィリピンパブ、そしてかつてのマルコス政権や現在のドゥテルテ政権など、経済的に豊かではなく、不安定な政権と強権政治のイメージが強いと思います。しかし、2000年代以降の政治の相対的安定を背景に、現在、フィリピンは順調な経済成長を果たしているようです。

背景の一つは、人口増加と人口構造。フィリピンの人口はすで一億人を越え、ASEAN諸国ではインドネシアに次ぐ人口大国です。また、生産年齢人口比率が上昇するいわゆる人口ボーナス期が、2050年ころまで続きます。もう一つが、国民の高い英語力を背景とした、海外への労働力輸出と、コールセンターなどのBPOの受注拡大による、可処分所得の向上と、それによってもたらされる個人消費の拡大。さらにもう一つ、相対的な政治の安定に伴う、財政健全化やインフレ抑制といったマクロ経済政策の成功が挙げられています。

とはいえ、スペイン、アメリカなどの殖民地時代から続く土地制度による貧富の差や、雇用を生むであろう製造業の弱さ、テクノクラートの少なさなど、リスクもあります。

外交・安全保障面では、近年中国の軍事的な威嚇への対処が課題です。日中両国に挟まれ、かつ軍事的にはアメリカでも、経済的に中国を無視できないフィリピンは、地政学的に難しい舵取りを迫られています。

日本としては、フィリピンの経済成長に引き続き手を差し伸べ、あるいは利用しつつ、相互の分業体制を作るとともに、中国の軍事力誇示に対して共同戦線を作りたいところです。日本とは、ODA等を通じ概ね良好な関係を維持していますが、殖民地支配などの歴史問題を抱えていることも事実です。中国に付け入る隙を与えないことが必要なのかもしれません。

【書籍紹介】
http://www.chuko.co.jp/shinsho/2017/02/102420.html


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