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BOPビジネスへの雑感 [経済]

BOPビジネスについてちょいと思いを馳せた。

BOPとは、ベース・オブ・ピラミッドの略。いわゆる、貧困層といわれる地域や人々を対象としたビジネス。最近ちょいちょい目にしたり、調べたりしている。

意外かもしれないが、生活水準の低い国や地域では、総じて、所得が低いにも関わらず、生活コストが高い。

例えば、まとめ買いすれば安いものであっても、所得が低ければまとめ買いができず、結果的に高い買い物になる。仮に食糧をまとめ買いしても、冷蔵庫とか保存の技術が発達していなければ、腐らせてしまうことになる。

交通の不便な地域では、輸送コストもそれだけかかることになるし、また、金融インフラや信用経済が発達していなければ、割賦販売などで電化製品や輸送機器を買うこともできず、生活コストを下げることができない。

電化製品が使用されていない地域に、コストをかけて送電設備を敷設することなどできないだろうし、自動車や輸送機器が普及していなければ、舗装道路を作る必要も少ないだろう。ついでに言えば、治安に関するコストも、バカにはならないはずだ。

正直、手の付けどころがわからない。

生活水準を引き上げるには、数多くの卵と鶏の優先順位が微妙に組み合わさった取り組みが必要なのだと思う。そして、こういった複雑な網の目を解きほぐすのに、「援助」や「指導」という方法は必ずしも奏功してこなかった。

一方ビジネスは、BOPだろうとなんだろうと、確実に浸透している。

日本企業でいえば、味の素やホンダなどが好例だ。味の素は、その少量販売の戦略も相まって、世界のBOP市場で確実に地歩を築いているようだ。重要なのは、味の素を使うことで、「うまみ」を出すための家庭料理の時間や材料コストが、大いに削減されることだと思う。

またホンダは、ブラジルで二輪車販売を行った際、「コンソルシオ」という無尽講のような金融手法を採用することで、販売を伸ばしたという。もちろん、二輪車が普及すれば、それだけ移動にかかるコストが低くなるし、便利になるだろう。

海外で言えば、低所得者向け低利融資で成功した、バングラディシュのグラミン銀行などが代表的だろうか。

このように、BOP層へ響く商品を提供することで、企業は利潤を上げ、BOP層は生活コストを大きく下げることにつながる。「援助」や「指導」だけでは、こうはいくまい。

リーマンショック以降旗色があまりよろしくないが、BOPビジネスにおいては、アダム・スミスの見えざる手がわかりやすい形で結実していると思う。

もし飢餓や貧困に苦しむ人々、すなわちBOP層へ的確にアプローチしていくなら、商品管理、流通、価格、CSR等々について、ビジネス、言い換えれば企業の儲けたいという欲望を、上手に巻き込む必要があろう。

どうすればいいか、個人的な知恵は、まあ、無いんですがね。ま、引き続きBOPについては、調べてみることにしよう。

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捕鯨雑感、逆説的に。 [経済]

鯨は割と好きである。

学校給食では、酢豚のような感じでオーロラソース和えが出たのが印象的だった。

ベーコンも良いし、さらしくじらと酢味噌もあう。
獣肉と魚肉とも言える真っ赤な濃厚な刺身もいけるし、鯨かつも力のある味。
百ひろとかの内臓を湯がいたやつも捨てがたいし、何ならハリハリ鍋で、
まとめて食ってしまうのも楽しい。

そんな鯨、現在、日本では沿岸の小型鯨類(イルカ含む)の捕鯨を細々やっているだけで、
IWCの国際的な規制の中、大型鯨類(ミンククジラ含む)の捕鯨や、遠洋での商業捕鯨は停止、
一部調査捕鯨の実施を巡り、海域ごとに駆け引きが続いているところらしい。

歴史や文化を無視した欧米の指導者の発言や、環境保護団体の過激な行動や発言は、
正直辟易させられるが、まあそこはそこで日本の外交として頑張って欲しいものである。

ただ、逆説的ではあるが、日本の捕鯨を衰退させるには、むしろ商業捕鯨を認めたほうが
効果的ではないか、と個人的には感じている。

というのも、日本における鯨肉市場が大きくなる可能性が、どうしても見えないから。

牛、豚、鶏肉が競争相手だとすると、鯨を食べる機会は、現在圧倒的に少ない。
鯨、それも美味い鯨の味を知る機会は、そんなに無いはずである。

仮に鯨の供給が商業捕鯨によって増えたとしても、鯨の美味さを知らない消費者が、
鯨肉を選ぶとは、現状考えにくい。

また、大手外食産業が鯨肉を扱うにしても、それこそ環境保護団体からの批判などに
配慮して、大々的なキャンペーンなどは打ちにくいのではないか。

そうすると、かつてと異なり、商業捕鯨が再開されるたとしても、産業として採算が
とれるような事業になるかは未知数だ。また、商業捕鯨が再開されれば、事実上
商業捕鯨を担ってきた調査捕鯨は、おそらく規模が縮小されるだろう。

そうなると、不採算の商業捕鯨が縮小し、調査捕鯨も縮小となれば、捕鯨そのものが
なおいっそう産業として縮小することになる。

こうして、捕鯨反対派からすれば喜ぶべきことに、捕鯨は衰退するのではなかろうか。

幸か不幸か、現在は国際的な批判や、環境保護団体の過激な活動により、
捕鯨に関心が集まり、捕鯨の環境への負荷など加味した、捕鯨情報の発信が
それなりに行われている。

また、料理屋で鯨料理があったら、ちょっと食ってみようと思う程度には、鯨には
関心がある層が少なくないのではないか。

そう考えると、調査捕鯨含め、まだまだ鯨肉食は続けられそうではある。

もちろん、捕鯨は環境問題としても、産業としても持続可能でなければならない。
これからも鯨を美味しく食うには、誰がどんな努力をすべきか。

土佐の「酔鯨」でも飲みながら、ヒマなときに、だらだらと考えることにしよう。

【参考記事】
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181023-00058063-gendaibiz-bus_all
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デフレ脱却に黄色信号。アベノミクス変質への懸念 [経済]

デフレ脱却を旗印とした安倍政権の経済政策だが、ここしばらく、そこから逆行しているのではないかと思わされる政策が打ち出されている。

例えば、外国人技能実習制度の適用拡大、いわゆる高プロ関連、消費増税の開始等々。その理由は、財界の巻き返しであり、それへの政権の忖度ではないかと考えている。

経済団体の幹部にとって望ましいのは、日本の円安とデフレではないかと思われ、その背景にあるのは、日本市場縮小の確信と輸出拡大型のビジネスモデルへの信仰にあると思う。そして昨今の安倍政権の経済政策も、デフレ脱却を謳いつつ、円安+デフレ政策に傾きつつあるのではないかと懸念している。

日本企業にとっては、デフレによって抑えられた低賃金で安く作ったものを、円安で海外に安く売ることで、利ざやを稼げる。いわゆる、「国際競争力」の向上だ。しかし、耳にタコができるほど聞いてきた国際競争力の向上や、それを目指した試みが生み出したものは、国内消費の停滞と、国内経済の縮小ではなかったか。

国内経済の縮小は、国債償還、インフラ費用、社会保障費用など公的サービスの負担を重くする。その負担は、グローバルに租税負担を考えられる企業と、資産移転や移住も視野に入れられる高額所得者および資産保有者に比べ、中間層と低所得者層が相対的に担うことになる(≒取りやすいところから取る)。こうして、国内の格差拡大が進む。

格差拡大による社会不安の増大は、治安やインフラなどに関し、ますます公的なコストを増大させる。公的なコスト増大は、相対的には中間層以下に降りかかる。そのため、私的にコストを払える層を除き、生活水準は悪化する。その結果、日本社会の分断が深刻化し、企業や富裕層の国外流出が加速する。

こうして日本国内では、デフレで賃金が上がらないまま、高税率、低サービスにあえぐ人々が昔を懐かしんで暮らすことになる。個人的には、それが望ましいとは考えられない。カギはやはり、国内投資および消費の活性化であり、そのためのデフレ脱却、例えば賃金の持続的な上昇などが必要になろう。

もちろん、企業が自己の利益を目指し、それを実現する政策のロビイングを行うのは当然だ。しかし、社会全体の負担が増す懸念があることに、政治が付き合う言われは無い。むしろ、円安とデフレでしか稼ぐことのできないビジネスモデルの刷新を経済界に迫る政策も必要になるだろう(だいたい、世界の主要企業が輸出工業モデルだけで成功しているのだろうか?)。

このように今の安倍政権の施策には、疑念を持っている一方、デフレ脱却と方法論を明確に打ち出す総理候補の存在は見えない。

その意味では、9月の自民党総裁選ということになるのだろうか。2012年の総裁選で安倍総理が勝ったのは、経済政策を語る唯一の候補者だったからだ。財界寄りでデフレ脱却を忘れたかに見える安倍総理が何を語るのか、有力候補はデフレに対してどう考えているのか、着目しなければと思う。

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後知恵かつラフな振り返り~日本経済と政策対応の約三十年~ [経済]

1:はじめに

デフレ対策から見た日本の政治と経済政策に関し、素人として振り返ってみたくなったので書く。

格差拡大、少子高齢化、社会保障の財源危機、個人消費や設備投資の低迷、国債残高の増加等々。日本経済は暗い話題にことかかない。

そんな長期停滞に悩む日本経済の問題がデフレによる経済全体の収縮にある、そして、デフレ対策には個々の経済主体の努力では足りず、マクロ経済政策が必要である、という認識が一般的になるのは、残念ながら、2012年12月の第二次安倍政権成立まで待たねばならなかった。

もちろん、経済にはデフレ以外の課題もあろうが、最優先がデフレ脱却であり、経済が成長する、もっといえば給料や所得があがるという希望の共有のはず。少しずつでも経済が成長すれば、社会保障や財政再建に対し次の手を打てる。だから、まずはデフレ脱却が必要とされている。

≪参考≫
https://daily-news-portal.blog.so-net.ne.jp/archive/c2305792282-3

プラザ合意後の急速な円高に伴う製造業の不可逆的な海外流出、消費税導入に伴う個人消費の落ち込み、バブル崩壊による信用収縮等々、1980年代の後半から90年代初頭を2010年代後半の今振り返れば、長期デフレの条件は出揃っていた。

リーマンショックの後にクルーグマンらが指摘したように、デフレ対策で必要なマクロ経済政策のパッケージは、市場に資金を提供する「金融緩和」と、デフレにおいて脆弱な民間の資金需要を公共部門で下支えする「財政出動」の二つである。EU諸国と異なり財政・金融政策の自由度が高く、国債がほぼ国内で購入される日本においては、「金融緩和」も「財政出動」も、十分に可能な選択肢だったはずだ。

では、時の政権は、それぞれ、この長期デフレの兆候に対し、どのように対応したのだろうか。

後知恵的に言えば、残念ながら、デフレに対して一貫した政策が取られたとは言い難い。はっきり言えば支離滅裂だ。当時の政治に経済を省みる余裕はなかった、とでも言えるだろうか。

もう少し細かく見てみよう。

2:プラザ合意+バブル崩壊=デフレ不況のスタート(1985~1992)

中曽根内閣から竹下内閣にかけ、プラザ合意以降の急速な円高に対して国内外で有効な手が打てず、円は上がり続けた。国内製造業の海外流出はまだその弊害を見せない一方、円高による原材料等の輸入品価格の低下や、海外旅行での強い円がもてはやされ、日本は好況感に包まれた。円高不況対策としての金融緩和は過剰流動性を生み、世の中にお金が溢れるようなイメージ。こうして、バブル経済が登場した。

竹下内閣は、このバブルの好況感を背景にか、高齢化社会の社会保障制度の財源確保のための消費税導入を決断する。竹下内閣の末期は、消費増税とリクルート問題をはじめとしたスキャンダルにより、参議院選挙で敗北。後継内閣の有力候補者は、軒並みリクルート疑惑への関与で動けなかった。また、竹下内閣が崩壊しても、竹下派は自民党内の最大派閥として、総理大臣選出のキャスティングボードを握り続けた。

その後、女性スキャンダルで短命に終わった宇野内閣。そして、小沢一郎氏曰く「御輿は軽くてパーがいい」という、政治的なクリーンさだけがウリの海部内閣は、竹下派の強いコントロール下に置かれた。

海部内閣のイシューは湾岸戦争への対応と、小選挙区制の導入可否が焦点の政治改革、選挙制度改革であり、経済ではなかった。プラザ合意による円高が進行中であることに加え、バブル崩壊という長期デフレの兆候が見え始めたこの時期にも関わらず、日本の政治と世論は経済に対しあまりにも関心が薄かった。

3:政治改革、行政改革に翻弄される経済(1993~2001)

続く内閣で首相を務めた宮澤喜一氏は、おそらく、日本の政治家として最も経済政策に精通している一人だったろう。

宮澤内閣では、バブル崩壊に伴う信用収縮が深刻な不良債権問題を引き起こしていることを直視。不良債権処理のために、金融機関への公的資金注入の枠組みが検討されるが、党内外の支持が得られず、実施できなかった。

不良債権問題はそのまま放置され、公的資金注入のスキームは約5年後の小渕内閣で住専問題を機にようやく俎上に上がり、そして最終的な解決は、約8年後、小泉内閣の竹中平蔵経済財政担当大臣による大鉈を待つこととなる。当時むしろ話題になったのは、ここでも経済ではなく、政治改革であった。

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シラスウナギの歴史的不漁。日本は資源管理に大きく踏み出せるのか? [経済]

ウナギの稚魚であるシラスウナギが歴史的不漁となる見込みです。参考記事によれば、シラスウナギの漁獲量はピークの1963年(232トン)以降減少傾向にあり、近年最低だった2013年で5.2トン、2018年はそれを下回る見通しとのこと。

現在流通しているウナギの多くが養殖ですが、卵からの完全養殖が未だ商業ベースに乗っていないため、養殖はシラスウナギの育成によって行われます。したがって、シラスウナギの不漁はウナギの価格や流通量に直結します。また、海外からの輸入の多くを占める中国、台湾産も、日本近海に来るウナギと産卵場所はほぼ同じと考えられており、同地域のウナギが減少していることを考えれば、ウナギの高騰は避けられないでしょうし、養鰻業者や鰻専門店には大打撃となるでしょう。

とはいえ、日本近海に限ってもウナギの減少傾向は続いていたわけであり、資源保護を巡る国内外の取り組みが後手後手に回っていたことは否めません。予想されるウナギの高騰により、ウナギの消費量は抑えられる一方、高騰を狙ってさらなる乱獲が懸念されることから、市場経済に任せるだけでは、近い将来、ウナギは絶滅状態になるでしょう。

ウナギの資源保護のための国内外の枠組みを作るとともに、密漁や不正取引の取り締まり、違法流通に対する収益のはく奪を強化するとともに、生態の把握を含め、完全養殖の実用化に向けた研究を加速させるための投資を行うべきです。また、場合によっては、養鰻業者や鰻専門店の廃業に対する手当も必要になるかもしれません。

過去、ニシン、ハタハタ、ホッケなど、乱獲や資源管理の失敗によって日本近海から姿を消し、食卓から遠ざかった魚種がいくつも見られました。ウナギもすでにそうなりつつあります。同じ失敗を繰り返さないよう食い止められるか、大げさに言えば、水産業に関する日本の政治・行政の底力が問われているのではないでしょうか。

≪参考記事≫
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25757510W8A110C1QM8000/
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