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【フィクション】永遠の命 [フィクション]

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記憶を、どうにか、振り絞ると、あのとき、『神』に、会ったのが、
転機、だった、のだろう。

彼は突然目の前に現れて言った。

「お前の願いを3つ叶えよう」

いろいろ疑わしかったのだが、とりあえず、

『無限の資産』『永遠の命』『永遠の若さ』

を頼むことにした。

資産は、すぐにわかった。とにかく、お金が入ったのだ。
お金で買えるものは、すべて買った。

美食も車も家も土地も異性も愛情も友情も地位も名声も。

残り二つは、だいたい20年くらいたってから分かってくる。
知人たちの老いが、いやでも目立ってきた。

女性たちのいわゆるアンチエイジングの努力が涙ぐましい。

50年くらいすると、知り合いはあらかた死んでいる。

マスコミの取材なども数度受けるが、煩わしいので、
外出せずに暮らすことにする。

寂しくないこともないが、次々発明される様々な娯楽機器は、
なかなかに楽しい。時間もつぶれる。

それから、どのくらいたったのかはわからない。

ある日何気なくニュースを見ると、環境の悪化に歯止めをかけられず、
人類は明日、ありったけの水爆で地球を滅ぼすことに決めたそうだ。

なんと。

人類の一部は、片道分の燃料を積んだ宇宙船で未知の惑星を探しに。
残りは、すでに安楽死用の薬物を支給されているらしい。

まいったな。

特にやることもないので寝たり娯楽機器で遊んだりしているうちに、
感じたことのない強い衝撃と聞いたことのない大音響が。

はじまった。

連続する地震に気を失っていたのだろう。
目覚めると、宇宙空間にただよっていた。

周りには、かつて地球を構成していたと思われる様々な物体。
ふと見ると、月がやたら大きい。

どうやら、慣性で、どこかへ流されているようだが、
行き先はわからない。

月や星が綺麗なのはよいが流石に飽きてきた。

何か、考えようとするが、時間が、無限にあると思うと、
どうも、億劫になる。

もう、

しばらく、

ただよい、

続ける、

ことに、

しよう・・・



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