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突然中華街、徳記、豚足麺 [食べ物系]

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横浜方面、用事が少し早く終わったある夕暮れ。
晩飯にはやや早いが、何か食べて帰りたい。

足を伸ばして、中華街でも行くか。

一人だから、コースはありえ無い。酒を飲むつもりもない。
麺か粥でもざっとすすってバッと帰るヒット&アウェイを所望。

そんなこんなできらめく中華街についてみたがさて。
同發でもないし四五六菜館でもないし。
かといって、千円前後の定食なら中華街に来るまでもない。

迷いつつだくだくと中年汗を滴らせながら入ったのは徳記。
池波正太郎の本で読み、1~2度行ったことがあるのである。

蛍光灯の明かりに、簡素な椅子とテーブル。
ホールには、係りの高齢女性に、先客が一人。

周囲の壁を著名人のサインが覆っているが、多くは90年代前後というのが趣深い。
妙な感慨に耽りつつ、席につき、あくまで水分補給がてらの瓶ビールを頼み、
しばし悩んだ後、豚足麺を注文。

豚足麺が来た頃、先客は勘定を済ませており、

「二十年ぶりくらいに来ましたが、味は変わってませんね」
「ええ、今は何もかも変わってしまって」

そんなやりとりを尻目にいざ豚足麺なんである。

ネギが微かに散らされた醤油ベースの汁に麺が行儀よくつかり、
別皿で豚足の醤油煮込みが添えられている。

麺と汁。よい。

決して派手な味ではなくむしろ想像どおりに近く淡いのだが、
汁は、醤油の香りに加え、飲み下す直前に、なんというか、
ちょうどよいコクがくる。

綺麗に製麺された麺にも、ささやかながらきちんと風味がある。

豚足はしっかりと煮込まれ、ふるりと滑らかな食感に、甘過ぎずベタつかない味付けで、
八角の風味があるかないかなのもそそとしてよく、ビールと逢わせると心地よい。

食らっている間、他に客は入ってこず、ある意味贅沢な時間。

食い終わり、出された茶を飲み一服。

金とカロリーと腹具合を気にしなければ、もう一皿、例えば、
海老とグリンピースの炒めものでもと思ったが、ちょっと無理か。

勘定を済ませようと立つと、女性は家具店か何かのチラシを読んでいる様子。
帰り際、

「暑いから気をつけて」

と優しげな声を後にすれば、目の前には、平成最後の年、
横浜の夏の夜が暑さと現実を伴って立ちはだかっていた。



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