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首相訪ロも効果薄く?北方領土交渉の度重なるすれ違い。 [国際]

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北方領土に関する対ロシア外交の経緯についてまとめたコラムが興味深かったのでシェアします。

【参考コラム】
http://blogos.com/article/179399/

筆者は、安倍総理の訪ロが実現した現在でさえも、北方領土交渉の先行きに関しては悲観的です。そして、最大のチャンスは、経済が混乱し、スターリン的な価値観からの決別を模索していたソ連崩壊直後だったと指摘します。ただ、日本の当時の政策課題は、政治改革であり、バブル崩壊への対応であり、北方領土問題を本気で解決しようとする国民的気運にはなりませんでした。

その後も、エリツィン政権時代に何度か日露接近が試みられましたが、いずれも失敗。プーチン政権下で経済成長を実現したロシアにとって、実効支配している領土で譲歩する理由は見当たらないまま、現在に至ります。「日本の対露外交を見ていると、本来動くべき時に動かず、難しい時に動こうとする奇妙な欠陥が垣間見える。」という指摘は、経緯を見る限り、素直に首肯できるものです。

その背景には、良くも悪くも国民世論があるのではないかと思います。国民世論と外交上の合理性とには、ときとして、奇妙な相互背反があります。日露戦争では、日本の戦争継続がほぼ不可能な状態での講和であったにも関わらず、賠償金が取れないことに世論が沸騰し、暴動に至りました。また、国際連盟の脱退で国内から拍手喝さいを浴びた松岡外交を契機に、日本は国際的孤立と三国同盟、そして大東亜戦争に進みました。(余談ながら、松岡洋右を「相手の手を全然見ずに、己の手ばかりを見ている麻雀打ちであった。」と評した山田風太郎の発言は示唆的です)。

国民世論への配慮の名の下に、政治指導者や外交当局者が外交上の合理性追求を怠ることも問題です。「四島一括即時返還」の世論が圧倒的だとしても、それが現実的でないのならば、代替案や、その方向性だけでもロードマップで示して地道に交渉すること、そして、日露関係の現実を国内に誠実に説明することも併せて必要でしょう。

さて現在、ロシアはそれなりの自信を取り戻した一方、クリミア問題による経済制裁と、原油価格の低下により経済的にダメージを受けています。ただプーチン大統領はどちらかというと国権主義的であり、スターリンへのシンパシーを隠していません。なお、二島の返還を定めた日ソ共同宣言自体は両国間で有効な外交文書です。中国が台頭し、アメリカで孤立主義の動きが見える中、日本の安全保障にとってロシアをどう位置づけるかが、真剣に問われています。

四島返還を求めてロシアの政治経済情勢の変化を気長に待つ現状維持を取るか、日ソ共同宣言レベルを軸に拙速ながら譲歩して手を打ち友好関係を進めるのか、中間案はありうるのか、ありうるとすればどんな案か、考え、決めて、そして動く必要があると思います。





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