SSブログ

捕まえる、減らす、発生させない。警察各部門の犯罪対策(私家版) [警察・刑事手続]

スポンサーリンク




一口に警察と言っても、交通取り締まりもあれば、殺人事件の捜査もあり、お巡りさんの巡回連絡もあれば、イベント警備もあります。加えて、広報や採用などの内部管理部門も欠かせません。会社と同じように、警察もそれぞれの仕事の性質に応じた部門があります。

そこで、主に犯罪への対応を軸に、刑事、生活安全(生安)、警備といった警察の各部門における犯罪対策の考え方について、簡単に(かつ、いささか乱暴に?)解説してみましょう。
<刑事>刑法犯の捜査・検挙
 ドラマや小説で一番登場するのが刑事。刑事というと、生安や組対も含む私服捜査員全体を指すことがありますが、ここでは部門としての刑事です。
 刑事の任務は、主に刑法犯の捜査・検挙です。捜査は、発生した犯罪ないしは繰り返されている犯罪に対して行われる活動。したがって、犯罪の抑止や未然防止の優先順位はやや下がります。いわゆる、「検挙は最大の防犯である」などの言葉に代表されるように、あくまでも検挙中心ですね。
 犯罪対策としては、DNA型鑑定や令状に基づく通信傍受の積極活用、刑事免責の導入検討など、法的な意味で捜査手法の強化を目指すことになります。また、捜査は起訴、公判と続く刑事手続の1フェーズなので、検察や裁判所との連携も重要です。

<生安>環境整備による犯罪抑止
 警察の部門の中で最も守備範囲が広いのは、実は生安かもしれません。少年事件、サイバー犯罪、消費者等の生活経済事犯、風俗事犯、ストーカー、地域警察(いわゆる交番など)、安全相談などなど、実は一番身近な警察活動です。
 生安でも犯罪を捜査しますが、その真骨頂は、環境整備による犯罪抑止。したがって、生安では、犯罪の認知件数が重要視されます。
 具体的には、風俗関連法令などの所管する法令に基づき、様々な許認可権限と規制を駆使し、環境や行動を取締り、犯罪の抑止を目指します。また、安全相談やトラブルへの介入を通じ、事件が犯罪にエスカレートするのを阻止することも大切な役割です。
  
<警備>テロの未然防止
 フィクションの世界で悪名高い公安も、警備警察の一分野です。警備というと、オリンピックやワールドカップなどの文字通り警備に加え、テロへの対策が中心になることが、刑事や生安との違いです。
  通常の犯罪とテロリズムの大きな違いは、前者が犯行そのものが目的であるのに対し、後者は、社会全体に恐怖やインフラへの不安を植え付けるために犯罪を手段にします。殺人事件よりもテロの方が、はるかに社会的な影響力が大きいのです。
 そのため、テロ対策では、未然防止が絶対の要請となります。生安が犯罪を減らすことを目的とするのに対し、警備の発想では、そもそも発生すらさせてはならない。そのため、広範な情報収集はもちろん、必要と判断すれば、犯罪の発生を前提としない事前介入も辞さないというわけです。

なので、犯罪に対する基本的なスタンスとして、
 【刑事=捕まえる】
 【生安=減らす】
 【警備=発生させない】
と考えると、分かりやすいと思います。

乱暴にまとめてしまったので、いささか厳密さに欠けるところはご容赦ください。応用編としては、組織犯罪対策や交通、警務という部門もありますが、今回はこんなところで。フィクションを見るときはもちろん、もし何らかの縁で警察と関わり合いになった場合、彼らの背景を知るのにお役に立てばこれ幸いです!



スポンサーリンク



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました