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学びて時に・・・~経済の場合~ [読書]

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「20世紀を作った経済学:シュンペーター、ハイエク、ケインズ」 (根井雅弘)読了。言わずと知れた経済学の巨匠3人の基本的な考え方がコンパクトにまとめられていて、楽しくサクサク読めました。

好況不況のサイクルという資本主義の動態的側面を、ヒロイックな企業家による「イノベーション」の概念で分析したシュンペーター。人間の知識、情報の限界を認識し、政府による経済介入を、「隷従への道」と批判した、ラジカルなリバタリアン、ハイエク。そして、「有効需要」、「流動性の罠」などの概念を用い、金融・財政政策に関するマクロ経済学の体系をエレガントに作って見せたケインズ。

ハイエクとケインズは読んだことがありましたが、この本で改めて、いろいろ思うところがありました。 一言で言うと、なんか日本っぽいということ。

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ハイエクは、経済活動における秩序として、個々人の利己的な動機から自然発生的に形成される秩序を選好し、政府等による統一的な秩序の形成を嫌悪。立場として市場原理主義に近いですね。構成員同士で何となく「空気」が出来上がり、その空気が自然発生的に秩序を作っていく日本社会を見たならば、ハイエクはきっと羨ましがるのではないでしょうか。とはいえ、日本社会がリバタリアンから見て理想か、というと、どうも心もとないのですが。

公共事業や利子率の操作、増減税等を通じて行うケインズの総需要管理政策は、例えば、日本の林業における山林の手入れなどと対比できるかもしれないと思いました。山林は自然の産物ではありますが、木々の成長を促すためにも、下生えを切ったり、枝を剪定したり、ちょこちょこ人間の手入れが入ります。山林を経済全体とすれば、手入れと総需要管理は、なんとなく似ている気がします。

シュンペーターの経済学も、ちゃんと読めば面白い発見があるのでしょう。

21世紀に生きる僕らは、経済を理解するために、彼ら天才が学んだところからスタートでき、これは非常な幸運といってよいでしょう。

しかし、世間を見るにこの「経済」という代物はまだまだ難物のようです。やはり「経済」は、人間社会が作り出した『疑似自然』なのかもしれません。

【『擬似自然』については、こちら参照】
http://daily-news-portal.blog.so-net.ne.jp/2015-12-28

そんなことをつらつらと思った次第。

「学びて時に之を習ふ。 亦説ばしからずや。」

なんて論語の記述が思い出されるある休日の午後なのでした。



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