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令状なしのGPS捜査が適法に?!捜査手法と基準作りについて [事件]

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連続窃盗事件の捜査対象者の車両にGPS発信機を取り付けて位置情報を把握した捜査手法につき、大阪高裁は、違法と判断した地裁判決を覆し、「重大な違法とは言えない」と判断しました(なお、地裁の有罪判断と量刑は維持)。

判断が割れた理由は、令状主義に関する考え方です。

地裁は、GPS捜査を刑訴法上の強制処分と判断し、令状請求をしていない点を違法と解しました。これに対し高裁は、GPS捜査が強制処分だとしても、本件連続窃盗事件の捜査の必要性や嫌疑の程度から、請求があれば令状が出る状態だったと認定。GPS捜査の運用の未成熟などから、令状請求を欠いたことは、本件に限って言えば重大な違法とは言えない、と判断しました。

地裁が令状について形式的な判断を下したのに対し、高裁は、本件捜査自体は認めながらも違法の余地を確保するなど、よりきめの細かい論理を展開したものと考えられます。

刑事訴訟法上、捜査としての強制処分は、逮捕・勾留、捜索・差押など、類型が限られています。技術は日進月歩であり、法改正がされるまで新たな技術を用いた捜査が一切できないというのは不合理です。一方、新たな捜査にはこれまでに無い形でのプライバシー侵害が想定されます。

その意味では、裁判例による基準作りを積極的に活用してもよいでしょう。

例えば、採尿や採血については、既存の処分の令状を転用するなど、裁判例を通じ基準が作られてきました。また、通信傍受については裁判例に加え、別途法律が作られました。GPS捜査にも、一定の目に見える基準を設けた方がいいのは、言うまでもありません。

警察、検察は、本件判断がGPS捜査の合法性を全面的に肯定したわけではないことを重視し、GPS捜査がプライバシー侵害の危険があることを踏まえ、合理的な基準の策定と周知徹底を図るべきだと思います。

【参考記事】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160302-00000035-mai-soci


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