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実は現状でも似た運用が可能?「刑事免責」について [警察・刑事手続]

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今回は、米国のサスペンスなどでおなじみの、『司法取引』という言葉について。ちなみに、『司法取引』と一括りにされている言葉、実は2つの概念に分かれるのは、ご存知でしょうか?

一つは、「刑事免責:immunity」。もう一つは、「有罪答弁:guilty plea」です。

前者は、被疑者が捜査機関に証拠(主に証言)を提供する代わりに、その証拠を当該被疑者の有罪認定に用いない、という制度のことです。例えば、ある被疑者が犯罪事実を自白したとしても、刑事免責が認められれば、その自白を証拠として有罪にすることができないため、結果的に無罪になります。

「刑事免責」は、主に組織犯罪、贈収賄などの全容を解明するため、証言、証拠を集めることが目的です。

後者は、被疑者、被告人と法執行機関の間で、事実に関する合意を元に、裁判における事実認定手続きを省略し、法律手続き(量刑など)に移行する制度です。例えば、他人に怪我を負わせて死に至らしめたという被疑者に対して、殺人罪での立証が微妙である場合に、被告人と検察が合意して、傷害致死罪での有罪を前提に、
量刑手続き等を進めるという例が考えられます。

「有罪答弁」は、刑事裁判を簡素化し、事件処理を効率化することが狙いです。

ところで日本では、「真実を明らかにする場」として刑事裁判を考える傾向が強く、『司法取引』にはネガティブなイメージがつきまといます。しかし、日本においても、これに似た法運用は、行われうるものとなっています。

具体的には、検察官の裁量訴追主義です。

検察官は、被疑者の起訴・不起訴を決める大きな裁量を持っており、この裁量の行使には、「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況」など、広汎な事情を斟酌することが可能です(刑事訴訟法248条)。

したがって、例えば、組織犯罪の捜査に協力した被疑者に対しては、「犯罪後の情況」を考慮して、起訴猶予にすることも認められるわけです。『司法取引』は、確かに米国法の考え方に基づくものですが、組織犯罪や贈収賄、事件処理の効率化など、それを必要とする背景は、日本にも同じように存在します。

それぞれの課題に法制度としてどのように対応するか。

『司法取引』は、その違いを分かりやすく写し出していると言えるのかもしれません。




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Yetta

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